TSMCは2023年7月の月間売上高が連結ベースで前月比13.6%増、前年同月比4.9%減の約1776億2000万NTドルとなったことを発表した。これは7月としては、過去2番目の売上高となるという。

好調だった背景にはAppleが今秋発売すると予想されている次世代iPhone向けSoCの出荷ならびに生成AI向け半導体の緊急受注などが押し上げ要因となったものと思われる。

これにより、2023年1月から7月までの合計売上高は前年同期比3.7%減の1兆1670億9000万NTドルとなった。

  • TSMCの2023年7月の連結売上高

    TSMCの2023年7月の連結売上高 (出所:TSMC)

2023年下期も半導体市場は停滞とみる台湾半導体業界

TSMCをはじめとする台湾の半導体企業各社の2023年下期の見通しとして、在庫水準は健全な水準まで下がってきたものの、最終セット製品の需要見通しが不透明なほか、中国の景気回復の動きも予想よりも遅れていることなどもあり、事前の期待ほど回復しないとの見方を打ち出している。年初の時点では、下半期に入れば個人消費が回復し、半導体など電子部品の出荷も増えるとの見方が強かったが、現状、7月に入っても生成AI関連を除いて、スマートフォン(スマホ)、PC、家電製品など消費者向け製品需要に大きな回復感は出ていない。

MediaTekによると、スマホの末端在庫や流通在庫は健全な水準に向かってはいるが、回復ペースが鈍化しているという。またRealtek Semiconductorは、企業ならびに消費者向け、いずれの需要も不透明だと指摘している。

一方、生成AIへの注目度の高まりからAI関連の需要が高まっており、TSMCでは魏哲家CEOが、AI関連の売り上げに占める構成比は現在6%だが、5年以内に10%まで上昇するとの予測を示している。ただし、TSMC全体で見ると、生成AI系半導体の売上絶対額は少ないため、その伸びがあっても、2023年全体の減速を補えるほどのものではないため、同社は通期売上高の見通しについて前年比10%減へと下方修正している。