日立ハイテクの韓国法人「日立ハイテクコリア」が韓国京畿道水原(スオン)市に設置した「ナノテクノロジー・イノベーションセンター(NIC)」が本格稼働を始めたと韓国電子産業日刊紙「etnews」が報じている。開所式そのものは建物竣工時の2022年に行われており、その後、計測・分析装置の搬入・立ち上げや調整が進められてきた。
同センターは、Samsung ElectronicsやSK hynixなどの韓国半導体メーカーの製品ウェハの評価を迅速に支援するために設立されたもので、韓国内における産業エコシステム強靭化が期待されている。半導体メーカーが作ったウェハを評価し、不良がないか、回路が正しく実装されるかを検査・分析し、エッチング工程を補完し改善する役割も果たすという。これまでは日立ハイテクの日本にある分析センターも一部協力していたようだが、同センターの本格稼働で今後は韓国内だけで検査分析を完結できるようになるという。これまで日立ハイテクは同様のセンターを日本、アメリカ、台湾に設置していたが、韓国の大手半導体メーカーからのニーズに素早く対応する必要性が近年、急速に増してきたことを受け、韓国に同センターの開設を決めた模様である。
国外にウェハを送らずに韓国内で処理できるため、時間および費用の観点から有利になるだけでなく、顧客のニーズに応える新機能を現地で評価・開発することができるようになるため、韓国の半導体メーカーとより強固なコラボレーションにつながることが期待される。
装置メーカー各社が次々と韓国に研究開発センターを開設
今回の日立ハイテクにカギアズ、Applied Materials(AMAT)も韓国内にR&Dセンターの建設準備を進めているほか、ASMLも露光装置の組み立て施設を同国内に建設する予定としている。すでにLam Researchは、研究開発センターと製造工場を開設済みであるほか、日本勢も、東京エレクトロンがR&Dインフラの拡張、富士フイルムと出光興産がそれぞれ半導体素材工場と関連R&Dセンターを建設済みとしている。いずれも韓国政府の誘致やSamsung Electronicsなど半導体メーカーの強い要請によるもので、今後もこの傾向は続くと韓国業界関係者は見ている。