7月26日から28日にかけて東京ビッグサイトにて開催されていた「TECHNO-FRONTIER 2023(テクノフロンティア2023)」において、STマイクロエレクトロニクスは電源の小型化および高効率化に大きく貢献するSiCやGaNのソリューションなどを展示していた。

  • STマイクロエレクトロニクス展示ブースの様子

    STマイクロエレクトロニクス展示ブースの様子

その中でも注目を集めていたのは「SiCパワーMOSFET」。これは、現在注目されている「SiC(シリコンカーバイド)」を取り入れたソリューションである。

この製品ポートフォリオには車載用および産業用アプリケーションの要件を満たすよう設計された最先端のパッケージ・オプションが含まれているとする。

  • 「SiCパワーMOSFET」について

    「SiCパワーMOSFET」について

実際に電気自動車(EV)に使用される場合の特徴としては、電池の減りが少なく、アクセルを踏んだ際のレスポンスも早いことが挙げられるという。

従来のSiを用いたパワー半導体製品では、アクセルなどを押した際にエネルギー損失が大きかったが、SiCパワー半導体であればそのエネルギー損失量がSiパワー半導体に比べて抑えられ、よりダイレクトに力が伝わるようになるためである。

また、EVは渋滞の際などの低速走行が苦手で、バッテリーの減りが早くなる傾向にあるが、SiCパワーMOSFETを使用することで、エネルギー損失を減らせるため、渋滞でもバッテリーの減りを抑えられるとする。

現在、同社はSiCの増産を推進しており、2021年と比べて生産量は約5倍になっているとし、それだけ世界的にも需要があるソリューションだとしている。

  • 「SiCパワーMOSFET」の増産グラフ

    「SiCパワーMOSFET」の増産グラフ

また他にも、最新の650VGaNソリューションにも注目が集まっており、実際に同社のGaNパワー半導体が入っている充電器・アダプタも展示されていた。

GaNパワー半導体のメリットは、ハイパワーかつ軽量小型化ができ、損失も少ない点。損失が減ることによって熱が放出されないため、冷却用の機構が不要になり、部品数が少なくなることで軽量小型化が実現するという。

充電器というと、大きくて重いといったイメージもあるが、GaNパワー半導体を使用することで、女性でも持ち運びやすい軽くて小さな充電器を実現できるようになるということである。

  • GaNチップ

    GaNチップ

こちらも年率で30%ずつ出荷が増えており、充電器のほかにも日常生活の中にある身近な製品であるゲーム機器、大型電気製品、LED照明などにも対応するという。

また、GaNは取り扱いが難しいとされている中でSTが提供しているGaNパワー半導体は「簡単導入」を掲げており、世界的に後れを取っている日本の企業にできるだけ早く導入してほしいとブース担当者は語っていた。