ユニバーサルロボット(UR)は、6月6日から9日まで東京ビッグサイトで開催されていた世界最大級の食品製造総合展 「FOOMA JAPAN 2023」で、同社としては過去最大級の可搬重量とリーチ数をもつ協働ロボット「UR20」の展示を行った。
今回注目を集めていた協働ロボット「UR20」は、可搬重量20kg、リーチ長1750mmと、同社が販売してきた協働ロボット史上最大級のモデルとなっており、アームを伸ばしきった状態でも20kgの可搬重量を確保する。
日本で一般的に荷物の積み下ろしなどが行われる範囲(リーチ数)は1100mmと言われているが、UR20であれば余裕をもって届くことができ、今回のデモで使われていた段ボールの積み下ろしであれば7段~8段まで対応できるとのことだ。
UR20は、同社の従来品と比べよりコンパクトで速度が速く、それにもかかわらず可搬重量は20kgまで対応するという強みがある。
従来品より高グレードな製品を開発する場合、部品を多く付け加え、より複雑で重量も重くなることが懸念される中、UR20は部品点数を50%減らし、20kgの可搬重量に対してロボットそのものの重量は64kgとよりコンパクトかつ軽量な仕上がりを実現。シンプルでコンパクトな構造になったことで、故障がおきにくく省スペース化でき、設置工事もやりやすいメリットがあるとのことだ。
また、ロボットの重さに比例してぶつかる衝撃も高くなるため、人の安全を確保しなければならない協働ロボットは速度をあまりだすことができないという課題があったという。しかし、UR20は軽量化されているため、従来1000mm/sの速さしかだせなかったものが2000mm/s以上の速さがでるようになったとし、作業効率も向上させることが可能となった。
なぜ、協働ロボットにある難しい課題を克服した開発ができたのかについてブース担当者は、「従来の設計思想をゼロにして、今の技術でできるものを考えようと完全に1から設計し直したところに強みがあると考えている」と語っていた。
同社の現行製品にはこれまで「UR3e」や「UR5e」というように末尾にeが付く「eシリーズ」と呼ばれてきたが、今回の「UR20」にはeが付けられておらず、まったく新しいものとしての意味が込められているという。
また、人が近づいてきただけでロボットが停止する端子など、導入する様態によってカスタマイズできるソリューションもすでに用意しているとし、今までリーチできなかったより広い場所、より重いものがもてるようになったことですでに自動車メーカーなどから要望があるという。今後は、導入するロボットのコストや速度、形状などの基準が厳しい食品メーカーにも参入していきたいとブース担当者は意気込みをみせていた。