Amazonは6月7日、2023年8月に稼働開始予定の「Amazon 千葉みなとフルフィルメントセンター(FC)」(千葉県千葉市)を報道陣向けに初公開した。
千葉みなとFCは、延べ床面積12万平方メートル(4階建て)、商品在庫数1700万個以上と、ロボットが商品棚を持ち上げて移動する「Amazon Robotics(アマゾンロボティクス)」を導入する拠点としては国内で最大という。本稿では、稼働前のFCでしか見ることができない“Amazonの裏側"をお届けしよう。
【動画】国内最大のAmazon物流センター(稼働前)に潜入
FCは簡単に言えば、「Amazonの倉庫」だ。AmazonとAmazonに出品する業者は、商品をいったんこのFCに送る。買い物客からのオーダーが入ると、FC内で商品をピックアップ、梱包し、流通網のラストワンマイルを担う各地の「Amazon デリバリーステーション(DS)」へと送る。日本国内のFCの数は合計で25カ所以上あり、全体の商品保管容量は1700万立方フィート以上と過去最大だ。AmazonのEC事業において、FCはなくてはならない存在だ。
その中でも特に、千葉みなとFCの規模は群を抜いている。東京ドーム約2.6個分の敷地内に、「Drive(ドライブ)」と呼ばれる運搬ロボットが約2600台、「Pod(ポッド)」と呼ばれる専用の商品棚が約3万台導入されており、スタッフの作業スペース「ステーション」は200以上備わっている。2000人以上の雇用機会を創出する見込みで、1日あたりの稼働数は約650人になる計算だ。
4階建てのうち、1階がオフィス、食道、入荷・出荷エリアで、2~4階がアマゾンロボティクスを活用した商品保管エリアとなっている。
FCでは入荷から出荷までに、「保管・棚入れ」、「棚だし」、「梱包」、「発送準備」と4つの工程があるが、スタッフは作業中に倉庫内を歩き回る必要はない。注文商品のピックアップ、倉庫内の荷物の移動などはすべて、ロボットやシステムが行うからだ。どの階のどの棚にどの商品が入っているかは、すべてシステムが把握している。
つまり、ステーションで行う保管・棚入れ、棚出しの作業は、移動してきた棚に対して商品の出し入れを行うだけで完了する。
運搬ロボットのドライブは、床面に貼り付けられている2次元バーコードを読み込むことで、システムの指示通りに動いている。上部にある黒い円版の部分でポッドを持ち上げて運び、バッテリーが残りわずかになると自動で充電ステーションへと向かう「力持ちで賢いロボット」だ。
倉庫内部での荷物の移動は、組み立て式の中2階棚「メザニン」上の仕分け装置「ソーター」や、梱包後の荷物を運ぶ「ベルトコンベア」などが担う。梱包作業では、商品ごとに適切なサイズの梱包材をシステムが提案し、スタッフはそれに従って梱包する。
千葉みなとFCでは、紙袋による自動梱包機械を国内のFCで初めて導入した。これまで段ボールで送っていた商品の一部を紙袋で届け、省資源につなげることを目的としており、商品のサイズに最適な紙袋をシステムが自動で選ぶ仕組みだ。
初の試みはもう1つある。それは「Amazonで働いているんだ」と実感できるレイアウト作りだという。例えば、オフィス内の壁には、「Amazonのオペレーション」のトレンドカラーであるブルーを基調として、企業理念やリーダーシップ理論などが書かれている。また、エレベーター扉には「Amazonの段ボール」のイラストが描かれている。
千葉みなとFCでセンター長を務める片桐秀行氏は、「笑顔と活力にあふれる地球上で最も働きがいのあるFCを目指している。挨拶が飛び交って、コミュニケーションが活発な職場を作っていきたい」と、意気込んでいた。