パナソニックグループでBtoBソリューションの中核事業を担っているパナソニック コネクトは、これまで顧客体験(CX)の向上、サービスデスク業務の効率化といった取り組みを進めてきましたが、既にさまざまな成果を挙げられているといいます。

顧客からの問い合わせチャネルとしてポータルサイトを開設したほか、サービスデスクでは顧客からの依頼内容を入力するだけで、機器・システムの故障や障害などに対処する作業員の派遣要請ができるようになり、年間150時間もの作業時間が削減されました。

その進捗状況も一括管理できるようになったことから、作業員の問い合わせ件数やサポート時間が5カ月間で1,500時間も削減されたそうです。

また、小売業の店舗システムのID・パスワードリセットを自動化したことで月間325時間(15分×1,300件計算)もの作業時間や、顧客との契約内容の登録・更新・契約書発行を自動化したことで年間144時間の作業時間をゼロにしたといいます。

パナソニック コネクトは、どのような工夫でCXの向上とサービスデスク業務の効率化を両立し、これほどの成果を挙げることができたのでしょうか。

  • パナソニック コネクトがCXの向上とサービスデスクの効率化を実現。契約管理の自動化で年間144時間の業務をゼロに

パナソニック コネクト株式会社

業界:電気機器
場所:日本 東京
従業員数:約29,500名(国内 約13,400名/海外 16,100名) ※2023年4月1日現在
製品:Customer Service Management

"ServiceNowのおかげで問い合わせへの対応が迅速になりました。今後は問い合わせの傾向を分析し、ソリューションの改善や新たな製品・システムの開発などに生かしていきます"
パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー サービス&ソフトウェアプラットフォーム本部 サービスプラットフォーム総括部 ダイレクター 溝部 秀明氏

法人顧客の「現場」の効率化やサービス改善に貢献する多彩なソリューションを提供しているパナソニック コネクト。パナソニックグループでBtoBソリューション事業の中核を担う同社は、社名の由来でもある「つながり」を強化するため、サービスデスク業務の効率化と顧客体験(CX)の向上を同時に実現させることを目指しました。その一環として、2020年にServiceNowのCustomer Service Management(CSM)を導入。顧客からの問い合わせの新たなチャネルとして、ポータルサイトを開設したほか、機器・システムの故障や障害などに対処する作業員の派遣要請を自動化するなど、オペレーションの効率化も実現しています。

“つなぐソリューション”で法人顧客の課題解決に貢献

「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」というパーパス(存在意義)を掲げ、お客様の「現場」に貢献する多彩なソリューションを提供しているパナソニック コネクト。

小売店の販売情報を管理する「店舗システム」のほか、サプライチェーン、公共サービスなどの分野向けに、デジタル・IT機器やソフトウェアを開発・製造・販売するほか、システムインテグレーション、施工、保守・メンテナンス、サービスなどを含むソリューションを提供しています。

「機器やシステムを販売するだけではなく、それらを有機的につなぎ、お客様が現場の業務を365日、いつでも効率よく回せるようにするソリューションとして提供しています。機器やシステムの機能を最大化する“つなぐソリューション”で、課題解決に貢献しているのです」と語るのは、同社の現場ソリューションカンパニー サービス&ソフトウェアプラットフォーム本部 サービスプラットフォーム総括部 ダイレクターの溝部秀明氏。社名のコネクト(つなぐ)には、そんな同社の想いが込められています。

"大手チェーンなどが全国のIT機器を一斉更新する際、各現場の作業進捗状況を一括管理する仕組みにもServiceNowを活用しています。作業員からの問い合わせやサポート時間が減り、5カ月で1500時間もの削減効果が表れています"
パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー サービス&ソフトウェアプラットフォーム本部 サービスプラットフォーム総括部 ダイレクター 溝部 秀明氏

内向きの仕事を減らすため、「カルチャー&マインド改革」に取り組む

パナソニック コネクトがCXの向上とサービスデスクの効率化を実現。契約管理の自動化で年間144時間の業務をゼロに

パナソニック コネクトは、「顧客起点でお客様の『現場』に貢献する新しいソリューションを提供する会社」を目指しています。顧客の業務効率やサービスを改善するソリューションを提供するためには、まず自分たち自身が変わらなければなりません。

そう考えた同社は樋口泰行CEOが就任した2017年4月以降、社内における「カルチャー&マインド改革」を推進してきました。

樋口CEOは、「まずは内向き仕事を減らそう」と号令をかけました。「内向きの仕事」とは、例えば長時間にわたる会議や、役員向けの膨大な資料作りなどのことです。これらをもっと簡略化すれば、社員の業務負荷は軽減され、顧客に向き合う時間も増えます。

「お客様との接点を最大化するためにも、社内の『カルチャー&マインド改革』は必須であるという考え方の下、樋口はことあるごとにその重要性を説いてきました。地道なメッセージの発信によって、改革の意識を根付かせたのです」と溝部氏は説明します。

「カルチャー&マインド改革」の一環として、パナソニック コネクトは働き方改革も積極的に推進しています。「社員の働きやすさを実現することが、お客様により良いサービスを提供する上での基礎となります。EX(従業員体験)の改善が、CX(顧客体験)の向上にもつながるわけです」(溝部氏)。

CXをさらに向上させるため、ServiceNowのCSMを導入

パナソニック コネクトは2020年、CXをさらに向上させるため、富士通の導入支援を得てServiceNowのCustomer Service Management (CSM)を導入しました。サービスデスクに寄せられる顧客からの問い合わせやトラブルへの対応依頼に、より確実かつスピーディに対応できるようにするためです。「従来、お客様からサービスデスクへの連絡方法は電話とメールが中心でしたが、問い合わせのチャネルを増やすため、CSM を使ってポータルを開設しました」と説明するのは導入プロジェクトに携わったサービスプラットフォーム総括部 カスタマーサクセス部 サービス3課 マネージャーの元木美絵氏です。

CSMには、「顧客からどのような問い合わせや依頼が来ているのか」という傾向をダッシュボードで一元管理できる機能もあります。「従来はバラバラのツールで集計、管理していた内容を統合することで、オペレーター全員が傾向や課題を共有し、サービス品質の標準化と底上げができるのではないかと考えました」と元木氏は明かします。

"SaaSであるCSMは時代に合わせて進化を遂げていくので、将来性や拡張性が高いと判断して選定しました"
パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー サービス&ソフトウェアプラットフォーム本部 サービスプラットフォーム総括部 カスタマーサクセス部 サービス3課 マネージャー 元木 美絵氏

サービスデスクの業務効率化も実現

パナソニック コネクトは、CSMの導入に合わせて、サービスデスクによる受け付けから、問い合わせへの回答やインシデント対応に至るまでの業務プロセスを、CSMの標準機能に沿って変えていくことを目指しました。カスタマイズを最小限にとどめ、将来のメンテナンス負担を抑えるためです。

CSMの導入により、問い合わせやインシデント対応依頼を受け付ける新たなポータルサイトを開設。顧客にとってはコミュニケーションのチャネルが増え、連絡が取りやすくなるというメリットがもたらされました。

一方、サービスデスク側には、機器・システムの故障や障害などに対処する作業員の管理がしやすくなるという業務改善効果が表れています。「CSMにお客様からの依頼内容を入力するだけで派遣要請ができるようになりました。作業に取りかかっているのか、どこまで作業が完了しているのかといったことも、同じインターフェース上で確認できるので非常に助かっています」と語るのはサービス3課 1係の高橋小百合氏です。

"ITに関する知識があまりなくても、自分たちが欲しい仕組みが簡単に作れるのもService Nowの優れた点だと思います"
パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー サービス&ソフトウェアプラットフォーム本部 サービスプラットフォーム総括部 カスタマーサクセス部 サービス3課 1係 高橋 小百合氏

ServiceNowを使って契約内容の管理を自動化

パナソニック コネクトは、このほかにもServiceNowのCSMを様々な用途で活用しています。

その一つが、小売業の顧客に提供する店舗システムの「ID・パスワード」リセットの自動化です。サービスデスクには、「店舗システムのIDやパスワードが分からなくなったので、リセットしてほしい」というリクエストが毎月1300件ほど届きます。以前は、その都度オペレーターがリセットし、完了した旨を顧客に電話で知らせていましたが、その作業時間だけで1件当たり15分近くもかかっていました。月間1300件なら325時間です。

そこでCSMとRPAを連携させ、顧客がポータル上でリセットの申請をすれば、自動的に処理される仕組みを構築。月間325時間を費やしていた作業がゼロになりました。

また、ServiceNowを使って「以前は、お客様との契約内容の管理はエクセルで行っていましたが、登録・更新・契約書の自動発行をできるようにしました」と語るのは高橋氏です。

この仕組みは、高橋氏が自ら構築したものです。「ITに関する知識があまりなくても、自分たちが欲しい仕組みが簡単に作れるのもServiceNowの優れた点だと思います」と高橋氏は評価します。CSMのダッシュボート上で契約が管理できるようになったことで、年間144時間もの作業時間が削減されたそうです。

作業員への電話やメールが不要に、年間150時間が削減される

さらにパナソニック コネクトは、大手小売チェーンや外食チェーンなどが全国のIT機器を一斉更新する際に、各現場における作業の進捗状況を一括管理する仕組みとしてもServiceNowを活用しています。「1件1件の現場に作業員が赴いて、更新作業を行っていますが、その進捗状況を把握するのはとても大変でした。ServiceNowで全体を管理できるようになり、お客様からの状況の問い合わせにも迅速に答えられるようになりました。作業員からの問い合わせの件数やサポート時間も減ったことなどで、5カ月間で1500時間の削減効果が表れています」と溝部氏は語ります。

このほか、インシデント発生時に作業員に対応要請の電話、メールを送る必要がなくなったことで、年間150時間が削減されるという効果も表れています。ServiceNowの導入による業務改善効果は非常に大きかったようです。

溝部氏は、「問い合わせに対するレスポンスも迅速になり、EXとCXを同時に実現する効果が得られています。今後は、CSMに蓄積された問い合わせやインシデントの傾向などを分析して、ソリューションの改善や新たな製品・システムの開発などに生かしていきたい」と抱負を語ります。

ServiceNowを活用したパナソニック コネクトの変革は、まだまだ続きそうです。

[PR]提供:ServiceNow Japan