ノーコード推進協会(No Code Promotion Association)は5月31日、自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援を目的とした新たなプログラム「ノーコード宣言シティー」を開始すると発表した。同日には、同プログラムの詳細を説明する記者会見が開かれた。
2022年9月に設立された同協会は、テキストによるソースコードの記述をせずにアプリケーションやWebサービスなどの開発を行うノーコード開発に関する情報の収集・提供、普及啓発活動などを行っている。
自治体ごとに個別カリキュラムのツール勉強会を開催
同プログラムは、「ノーコード宣言シティー」を宣言した地方自治体や、同自治体に拠点を置く企業・団体のノーコード活用をサポートするというものだ。
具体的には、自治体職員向けにノーコードツール活用勉強会を開催したり、ノーコード導入時の導入伴走サービスを特別価格で提供したりする。
自治体内で開催される各種デジタル関連イベントや、同プログラムに参加する自治体によって構成されるコミュニティ活動なども同協会がサポートする。
なお、会見当日には愛媛県西予市、鹿児島県奄美市、同指宿市、熊本県小国町、静岡県伊豆市、同焼津市、福岡県飯塚市、同直方市、北海道旭川市、同釧路市が宣言を出し、同プログラムへの参加を決定したことが発表された。
ノーコードツールの勉強会は、自治体ごとに個別にカリキュラムを組み、無料で実施するという。希望するツールのハンズオンセミナーのほか、ノーコードに関連したビジネスや開発事例も紹介する。各種セミナーや勉強会は、基本的にオンラインで実施する予定だ。
「ノーコードで、欧米にはない強みを生かしたDXが進む」サイボウズ 青野氏
ノーコード推進協会 代表理事の中山五輪男氏は、「地方自治体のDXでは、『デジタル人材がいない』と『お金がない』という2つの課題があるが、それらを解決するのがノーコードツールだと考える。自治体職員の方々に、『自分たちでもアプリやシステムを作れる』と実感してもらい、自治体におけるノーコード活用の波を創っていきたい」と意気込みを語った。
同プログラムを継続していくことで、自治体の業務改革を実現する業務アプリケーション開発とDX推進を実現できるほか、ノーコードツールのトレーニングなどが自治体職員のリスキリングの一環になると同協会では見込んでいる。
中山氏は、今回のプログラムを開始するにあたって複数の自治体を訪問。その中で、IT業界ではすでに認知されているノーコード開発が、市区町村のIT担当者の間では意外と知られていない現状を知ったという。
今後、同協会はノーコードツールを一挙に紹介する書籍や、ノーコード関連用語の標準化、ノーコード認定講師制度の制定にも着手する。
記者会見には、同協会の副代表理事を務めるサイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏も登場した。
「IT業界はイノベーションの連続だ。最近ではChatGPTにプログラムを書かせるといった話が出てきているように、これからの時代はデジタル化を進めるために、必ずしもコーディングやデータベース、ネットワークなどの複雑な知識が必要ではなくなっていくだろう。日本には業務知識をもったベテラン職員がたくさんいる。そうした方がノーコード開発を学ぶことで、欧米にはない強みを生かしたDXが進むのではないか。それにより自治体の運営効率化と住民への公共サービス向上に繋がると思う」と青野氏は、ノーコード開発に対する期待を述べた。