2023年5月初旬に開催された日韓首脳会談において、両国首脳が強固な半導体サプライチェーン構築に向けて連携していくことを合意したのを受けて、日本の経済団体連合会(経団連)と韓国の同種の団体である全国経済人連合会は5月10日、両者が1億円ずつ出しあって設置した「未来パートナーシップ基金」のもとで「日韓半導体サプライチェーンの強化」に向けて、共同研究などを通じて検討を深めていくことで意見が一致したと発表した。
両経済団体は、両国の民間企業が未来志向かつ双方向的な観点に立って、直接、間接に共通の利益を実感できる形で産業協力を進めていくとしており、「日韓半導体サプライチェーンの強化」のほか、「自由で開かれた国際秩序の維持・強化」「資源・エネルギー安全保障」やDX/GX活用などについても共同で検討するとしており、これらの取り組みは、日韓関係改善に向けた経済界の取り組みの一環として、7月にも具体的な内容で議論を開始するという。
日経連会長が日韓サプライチェーン構築を評価
また、経団連の十倉雅和会長は、5月9日の定例記者会見にて「半導体に関し、両首脳が協力の強化で一致したことを歓迎する。わが国は、製造装置・材料分野で強みを持つ。韓国は、設計・量産技術に強みを有する。そうした両国が、この分野で連携して強固なサプライチェーンを構築することは経済合理性があり、経済安全保障の面でも非常に意義があると評価している」と語っているほか、西村 経済産業大臣も5月9日の閣議後の記者会見にて、日韓半導体サプライチェーン構築に関して「日韓双方で投資が行われ、両国にとって互いにメリットがあることが重要である」と述べ、半導体の安定供給に向けて、両国の連携を深める必要性を強調している。