TECHCETによると、2022年の半導体を中心とした電子産業用ガス市場は前年比8%超の伸びを示し、68億ドル規模に到達したという。

2023年は、少なくとも上半期に半導体業界の減速の影響から同2%減と予想するもの、2024年より回復し、2027 年の年平均成長率(CAGR)6.3%で成長し、2027年には92 億ドルに達するとも予測している。

  • 電子産業用ガス市場規模の推移予測

    電子産業用ガス市場規模の推移予測 (出所:TECHCET)

六フッ化タングステン(WF6)と三フッ化窒素(NF3)という2種類の特殊ガスは、どちらも過去数年間にわたって供給不足が続いてきた。WF6はNANDのタングステン(W)インターコネクトの堆積に使用され、NF3はプロセスチャンバーのクリーニングに使用される重要なガスである。2025年から2026年にかけて、世界中で巨大な半導体工場が新規稼働すると、これらのガスサプライチェーンは引き続き供給がシビアになると予想しているほか、2024年から2025年にかけても生産能力が限定的であるため、いずれも需要と供給の不均衡が懸念されるとも指摘している。

なお、TECHCETでは、過去10年間にわたって断続的に供給不足が続くヘリウムにも注目している。米国政府系のBLM(Bureau of Land Management:土地管理局)が原料ヘリウムの供給の制限を行ってきた後のその残量のAir productsによる買い上げに加え、露Gazprom(ガスプロム)の計画がロシアのウクライナ侵攻によって失速したため、2022年以降はヘリウムサプライチェーンに関する懸念を悪化させる状況となっている。2023年は景気低迷ならびに半導体需要の低下に伴う一服感があるが、今後、12カ月以内に新たな供給方法などを見出せなければ、ヘリウム市場は再び供給不足に陥る可能性があるとする。また、今後はカナダのアルバータ州産のヘリウムが市場で注目を集める可能性があるともするほか、フランスは欧州初となるモバイル・ヘリウム・リサイクルユニットを発売するなど、供給不足に対する新たな動きも見得つつあるとする。また、ヘリウムのほか、ネオンの調達も重要な問題となっており、TECHCETでは注視を続けていくとしている。