富士経済は4月10日、パワー半導体市場調査の結果を「2023年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」としてまとめたことを発表した。
それによるとパワー半導体市場は2035年に2022年比で5倍の13兆4302億円、SiCに限れば同31倍の5兆円となるという。
今回の調査は、シリコンパワー半導体と次世代パワー半導体(SiC、GaN、酸化ガリウム、ダイヤモンド)およびパワー半導体製造装置・部材メーカーを対象に、2022年11月から2023年2月にかけて行われたもの。2022年のシリコンパワー半導体市場は、民生分野が落ち込んだものの、自動車・電装分野の需要拡大もあり市場を拡大。2023年以降も高い伸びが続くと予想している。次世代パワー半導体についてもSiC、GaNともに需要が堅調で、2022年の市場規模は前年比2.2倍と拡大。2023年も市場が拡大することが期待されるほか、今後市場が立ち上がることが期待されている酸化ガリウムについても2035年に向けて市場拡大が進むと見られているが、それでもパワー半導体市場全体の0.3%程度としている。
SiCパワー半導体市場は、高い電力変換効率を背景に欧州や中国での採用が急速に進んでおり、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーやデータセンター、自動車などが好調で、今後もそれらの分野を中心に市場成長が期待されている。また、ウェハ生産能力の増強ならびに大口径化、加工技術の向上などによる低価格化の進展も市場拡大の後押しとなるとする。そのため、2023年の市場規模は同34%増2293億円、2035年には2022年比31倍の5兆3300億円と同社では予想している。
一方のGaNパワー半導体市場は、ACアダプタの高速充電たサーバ電源などを中心に市場拡大が続いており、2023年も同32.6%増の57億円まで拡大することが期待されている。その後は、車載分野におけるオンボードチャージャーやDC/DCコンバータなどでの採用が拡大することが期待され、2035年には2022年比17.2倍の740億円まで拡大することが期待されるとする。
量産化に向けたサンプルの評価が進む酸化ガリウムはショットキーバリアダイオードの量産が開始される見込みであることから2023年には市場規模が4億円となることが予想されるほか、2025年ころにFETの実用化が期待されており、民生機器や情報通信機器での採用が進むことが見込まれることから、2023年には445億円まで市場規模が成長することが予想されるとしている。
パワー半導体製造装置市場については、中国を中心とした積極的な設備投資を背景に、2022年は同39.3%増と伸び、2023年も同21.4%増の4124億円、2035年には2022年比2.4倍の8180億円と予想している。また、材料市場については、2022年に同30.9%増の2711億円と大きく伸び、2023年も同11.5%増の3023億円と伸び、その後も自動車・電装分野の需要増加やSiCの需要増に伴うシンタリング接合材や窒化ケイ素回路基板などの採用増加が期待されることから、2035年には2022年比4.4倍の1兆2020億円まで拡大することが予想されるとしている。