龍神信仰の厚い江島神社へアマビエ像を奉納

江島神社は、日本三大弁財天の1つとして名高い地であると同時に、龍神に対する信仰が厚いことでも知られるという。同神社の宮司である相原圀彦氏は、「天空を駆け巡って力を発揮する」という龍神のはたらきと宇宙との共通点から、祈願祭や奉告祭が江島神社で行われるに至ったと話す。

  • 「アマビエ像が戻ってくるのが楽しみだった」と語る江島神社宮司の相原圀彦氏

    「アマビエ像が戻ってくるのが楽しみだった」と語る江島神社宮司の相原圀彦氏

そして、今回地球へと帰還したアマビエ像は、Space BDから江島神社へと奉納される。「今回のような画期的な取り組みを、1人でも多くの方にお伝えしたい」と語る相原宮司によると、今後アマビエ像の一般公開を予定しているというが、アルミ板自体は小さいサイズであることから、展示の方法や時期については調整中とのことだ。

プロジェクトを通して「宇宙のすそ野を広げる」

今回奉納された、アマビエの描かれたアルミ板をよく見ると、その大部分が黄色くなっているのがわかる。Space BDで事業開発を担う佐藤正崇氏によると、この変色は宇宙空間の影響を受けて起こったものだといい、地球上とは比べ物にならない強度の紫外線や宇宙線を受けた何よりの証拠だとする。また変色していない部分は、宇宙空間への曝露の際に、アルミ板を抑えるための板が重なっていた範囲とのこと。変色部分とのコントラストは、まさに宇宙環境の影響を表しているのだ。

  • 打ち上げ前(左)と地球帰還後(右)のアマビエ像の比較。宇宙空間の過酷さを思わせる色合いの変化が見られる

    打ち上げ前(左)と地球帰還後(右)のアマビエ像の比較。宇宙空間の過酷さを思わせる色合いの変化が見られる(出典:Space BD)

また今回のプロジェクトでは、アマビエ像に限らず、さまざまな搭載品に変色などの変化が見られたという。宇宙での時間を過ごした写真やイラストといった記念品をはじめ、研究用素材なども含まれた対象品は、各種手続きを経てそれらを提供した顧客の元へと返還されている。

佐藤氏はスペースデリバリープロジェクトについて、「世界でも実施している企業は少なく、希少価値の高いサービスだ」と話す。また同社の優位性として、「新規性の高い宇宙サービスを、比較的安価で提供できる」点があるという。

また、Space BD広報担当の飯塚はるな氏は、同プロジェクトがもたらした影響の大きさを感じているという。特に「一般の方からの問い合わせが非常に増えた」とのことで、「手軽に活用できるプロジェクトとして宇宙のすそ野を広げる、という目的に向けて、とても大きな役割を果たしていると思う」とする。

  • Space BDで事業開発を担当する佐藤正崇氏

    Space BDで事業開発を担当する佐藤正崇氏

  • Space BD事業開発広報採用マネージャーの飯塚はるな氏

    Space BD事業開発広報採用マネージャーの飯塚はるな氏

スペースデリバリープロジェクトは、すでに第2弾の対象品を搭載したロケットの打ち上げが完了しており、その対象品には、プロジェクト第2弾の公式アンバサダーを務めるグローバルボーイズグループ「JO1」の記念品も含まれているとのこと。さらに、プロジェクト第3弾もすでに始動しているとのことで、継続的なサービス提供に向けて着実に進んでいる。

今後も宇宙をより身近な存在に近づけ、その利用を拡大していくことを目指すSpace BD。宇宙を旅したアマビエも、江ノ島からその進展を見守っていくことだろう。

  • Space BDから江島神社へと奉納されたアマビエ像は、ゴールデンウィークごろをめどに一般公開される見込みだ

    Space BDから江島神社へと奉納されたアマビエ像は、ゴールデンウィークごろをめどに一般公開される見込みだ