Vicorは、自社の電源モジュールがロボットを使った監視セキュリティサービスを提供する米Knightscope(ナイトスコープ)の自律型セキュリティロボット(ASR)に採用されたことを発表した。
2013年創業のナイトスコープが手掛けるASRは、LiDAR、GPS、ソナー(超音波)、IMU(慣性計測ユニット)、4Kカメラ、Hi-Fiオーディオ、走行距離センサ、などを活用して完全に自律して動くことが可能。LiDARは21個搭載され、25msごとに周囲のマッピングを実施。そのデータをもとに、半径100mの3Dマップを作成することで、ASRは周辺の状況を認識することができるようになっているという。また、ソナーが近接センサの役割を担っており、接近する物体の検知を行うほか、GPSが自律航法の補助として活用されるほか、ロボットが誰かに動かされたり、盗まれたりした場合の居場所特定などに活用される。
このほか、走行距離センサを用いてホイールの回転を計算し、左または右に移動/追跡していることの検知を行うほか、IMUによる6DoF(6自由度)の空間認識により、機体の姿勢を検知。立ち往生したり動けなくなったりした場合の通知に活かすことができるようになっている。
こうした多数のセンサの駆動、ならびにそこから得られる多量のデータ処理のためのプロセッサ、そしてコントロールセンタなどとの通信などには電力が必要である一方、バッテリ動作で機体サイズに制限があるASRには電源は小型かつコンパクトであることが求められることとなる。また、ナイトスコープのASRは機体内部への空気の流入出、ならびに換気口がないため、アルミニウム製の外装をヒートシンクとして活用する必要があり、そうした伝導冷却が可能なソリューションが必要となっていたという。
そのため、ナイトスコープでは、そうしたニーズに対応可能な小型かつ放熱しやすいVicroのChiPパッケージを活用したDC/DCコンバータモジュール「DCM3623」を採用することに決定。高い電力密度により、配線のしやすさやケーブルの組み立てやすさ、バッテリ効率や性能、稼働時間の向上を実現したという。また、多種多様なセンサが搭載され、EMIの特性がそれぞれ異なる中、EMIとノイズの干渉を最小限に抑えることにも成功したともしている。