Semiconductor Intelligence(SI)によると、マイナス成長が予想されている2023年の半導体市場において、車載半導体分野は唯一の明るい成長分野となる可能性があるとしており、車載半導体市場は2023年に2桁のプラス成長となるとの予想を発表した。
自動車市場の回復に併せて成長が続く車載半導体
半導体市場の主要ドライバーであるPC/タブレット、スマートフォン(スマホ)、そして自動車の年間生産台数を比べると、PC/タブレット、スマホは2023年にマイナス成長が予想されているが、自動車については、新型コロナの影響で2020年に同15%減と落ち込んだが、2021年に同3%増、2022年も同6%増と戻してきた。世界的な経済の活性化期待もあり、2023年も同4%増と伸びることが期待されているとする。
自動車業界は、2021年の増産開始以降、半導体やその他の部品不足に悩まされてきており、それらの不足によって2021年に約1100万台、2022年も約450万台が生産計画見直しの影響を受けたという。2023年には半導体不足が緩和されるものの、それでも生産計画は全体で280万台ほど影響を受けると自動車業界関係者では予想しているという。
車載半導体サプライヤのトップ5は、Infineon Technologies、NXP Semiconductors、STMicroelectronics、Texas Instruments(TI)、そして日本のルネサス エレクトロニクスで、これら上位5社だけで車載半導体市場全体の約半分の売上高を占める。かつ2022年はいずれも当該市場で2桁増の成長を達成したほか、2023年第1四半期のガイダンスでも(ルネサスは非公表)、全社売り上げは厳しいが、車載半導体だけを見れば、引き続き好調との見方を示している。
車載半導体市場好調の背景
Semiconductor Intelligenceでは、2023年の車載半導体市場について前年比14%増と予想しており、その主な要因として以下の5つを挙げている。
- 半導体不足は緩和しつつあるも2023年末にかけてまだ一部の製品で残る
- 車載半導体の在庫が適正在庫以下に到達
- 車載半導体の単価が一部値上げ
- クルマの生産台数が前年比4%増の見込み
- クルマ1台当たりの半導体搭載量の増加
特に5番目の要因は長期的な見通しにも影響を与えており、1台あたりの搭載金額は2022年の854ドルから、2029年には1542ドルへと増加すると見られるという。ガソリン車の電動化に加え、電気自動車(EV)の販売に注力するメーカーが増えており、そうしたEVには高度なバッテリー管理システムが必要となることから、ガソリン車の2倍から3倍の半導体が搭載される(金額ベース)と推定されており、ADASの進化なども含め、車載半導体の成長が続いていくものとSemiconductor Intelligenceは結論付けている。