マネーフォワードは3月28日、法人702人と個人事業主541人を対象に「電子帳簿保存法に関するアンケート調査」を実施した。

調査結果によると、法人と個人事業主間で電子帳簿保存法への対応進捗や電子化に対する意向に差が見られたほか、法人の半数以上にクラウドサービス導入の意向があることがわかったという。また、同法への対応で大変に感じるポイントについて、法人の1位は「従業員への理解促進」、個人事業主の1位は「紙と電子の混在」となったという。

電子取引の電子保存対応は法人・個人事業主ともに進まず

はじめに「電子帳簿保存法への対応ができていますか?」との質問に対し、法人では「対応できている」「一部対応できている」との回答が53.3%と、半数以上が電子帳簿保存法に対応している一方、個人事業主では21.9%と2割程度にとどまった。

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    法人(n=668)と個人事業主(同512)における電子帳簿保存法への対応状況

また「電子取引の電子保存の対応については2年の宥恕措置(2024年1月1日から義務化)がとられているのを知っていますか?」との問いには、法人では「知っている」が37.9%、「だいたい知っている」が32.6%と7割以上に認知されているのに対し、個人事業主では「あまり知らない」が28.5%、「知らない」が35.4%と6割以上に知られていないことがわかったという。

  • 法人(n=668)と個人事業主(同512)における宥恕措置の把握状況

    法人(n=668)と個人事業主(同512)における宥恕措置の把握状況

さらに「電子取引の電子保存の対応について、すでに対策や対応方法を決定していますか?」と尋ねたところ、対応方法を「決定している」との回答は法人でも34.4%にとどまり、個人事業主については「決定していない」「今後も対応しない予定」が合わせて6割弱となった。受領した電子の請求書を、何を用いどのように保管するのか、多くの事業者が対応を決めかねていることが判明した。

  • 法人(n=668)と個人事業主(同512)における電子取引の電子保存対応の状況

    法人(n=668)と個人事業主(同512)における電子取引の電子保存対応の状況

法人は半数以上がクラウドサービス導入の意向あり

加えて「電子帳簿保存法の改正を受けて、クラウドサービスを導入しましたか?」との問いに関して、電子帳簿保存法の改正を機にクラウドサービスを「導入した」、または「導入を検討している」との回答は法人で54.4%、個人事業主で29.5%。法人では半数以上に導入の意向が見られるのに対し、個人事業主は3割程度とクラウドサービスの導入における意向は法人に比べて高くないことがわかった。

  • 電帳法改正を受けての法人(n=668)と個人事業主(同512)におけるクラウドサービスの導入状況

    電帳法改正を受けての法人(n=668)と個人事業主(同512)におけるクラウドサービスの導入状況

そして「電子帳簿保存法に対応することは大変だと感じますか?」との質問対しては、法人では「大変だと思う」が40%、「少し大変だと思う」が37.7%、個人事業主も「大変だと思う」が40.7%、「少し大変だと思う」が27.8%との回答があり、どちらも約7割が電子帳簿保存法への対応を大変だと感じていることが判明した。

  • 法人(n=623)と個人事業主(同454)ともに7割が対応を大変だと感じているという

    法人(n=623)と個人事業主(同454)ともに7割が対応を大変だと感じているという

また「電子帳簿保存法への対応において具体的に大変だと感じることを教えてください」と尋ねたところ、法人は「業務フローの変更による従業員への理解促進」が、個人事業主では「紙と電子の証憑の混在」がそれぞれ1位となった。「電子帳簿保存法の要件に対応した業務フローの変更」については法人・個人事業主ともに懸念していることが判明した。

  • 法人(n=593)と個人事業主(同413)ともに業務フローの変更を懸念している

    法人(n=593)と個人事業主(同413)ともに業務フローの変更を懸念している

一方、「今後、電子で受領する請求書の割合を増やしていきたいと思いますか?」という設問に対して法人では「はい」が61.7%と6割以上であるのに対し、個人事業主では「はい」が33.0%と、電子化への意向に差が見られる結果となった。

  • 法人(n=668)と個人事業主(同512)では電子化への意向に差が見られた

    法人(n=668)と個人事業主(同512)では電子化への意向に差が見られた