名古屋大学(名大)と科学技術振興機構(JST)は3月3日、従来は溶解させてから鋳型利用する界面活性剤をあえて溶かさずに層状固体のまま利用し、その隙間で合成したアモルファスシリカを剥離することで、厚さ0.9nmのアモルファスシリカナノシートの合成に成功したと発表した。

同成果は、名大 大学未来材料・システム研究所の山本瑛祐助教、長田実教授らの研究チームによるもの。詳細は、ナノ/マイクロスケールのサイエンスに関する学際的な分野を扱う学術誌「Small」に掲載された。

一般的に、ナノシートは元々の三次元物質とは異なる特性や機能を示し、原子レベルの薄さと二次元ナノ構造に起因した、特異なイオン・電子伝導特性を示すことが知られている。中でも、アモルファスシリカのナノシートは、優れた機械的特性や広いバンドギャップを示すことが期待されており、次世代の電子デバイス、エネルギー分野での応用が期待されている。

しかし、アモルファスシリカは非層状物質であるため、一般的な合成手法である層状化合物の剥離によるナノシート合成は困難だったという。これまで、界面活性剤の液晶を鋳型として合成されたアモルファスシリカ-界面活性剤層状物質の剥離に関する報告もあったが、いずれも剥離が十分に進行しないことから厚さのあるものしか得られておらず、新たな合成法の開発が望まれていた。

そこで研究チームは今回、アモルファスシリカナノシートの合成を実現する方法として、固体の界面活性剤をあえて溶かさずに層状固体のまま利用し、その隙間でアモルファスシリカを析出させてから剥離する方法を検討することにしたという。