H3ロケット初号機が2月16日、ついに姿を現した。翌日に打ち上げを控えた同ロケットは、16時ころより機体移動を開始。VAB(大型ロケット組立棟)から第2射点まで、約400mの距離を30分ほどかけ、移動発射台(ML)に乗った形でゆっくりと移動を行った。打ち上げは17日10時37分55秒に実施される予定だ。
これぞ大型ロケットの迫力!
H3は、日本最大となる新型ロケット。初号機は短いショートフェアリングのため高さは57mで、これまで最大だったH-IIBとそれほど変わらないものの、ロングフェアリング装着時には63mにも達する。そのままだとVAB内に格納できないため、移動発射台には埋め込む形で搭載するほどだ。
初号機のコンフィギュレーションは、「LE-9」エンジン×2基、固体ロケットブースタ(SRB-3)×2本のH3-22S型。前回の「実機型タンクステージ燃焼試験」(CFT)取材のときにも機体は見ていたが、このときはSRB-3が無く、H3-30S型となる2号機に近い外観だった。打ち上げ時の姿で登場するのは、今回が初めてだ。
H3-22S型はH-IIAロケットの構成に近く、日本では見慣れた外観であるが、H-IIAの直径が4.0mと細いのに対し、H3は5.2mと太く、全体的にずっしりした印象を受ける。この直径はH-IIBの第1段と同じであるが、H3は第2段も同じ5.2mと太くなっており、H-IIBで特徴的だったくびれは無くなっている。
公式見学場の様子も簡単に紹介
今回は新型ロケットの初打ち上げということで、普通であれば大勢の観光客が来島するところだが、種子島は昨年(2022年)あたりから宿泊事情がかなり悪化しており、ホテルや民宿の確保が難しい状況だ。これは、西之表沖の馬毛島に自衛隊基地を建設するのに工事関係者が大勢宿泊しているためで、来島を断念したファンも多いだろう。
この状況はまだしばらく続くと見られる。種子島では2023年度、H3ロケット2号機やH-IIAロケットが続々と打ち上げられる予定なので、観光客が来られないのはなんとも残念なのだが、宿泊事情が改善したときのために、打ち上げを見ることができる公式見学場の様子も最後に紹介しておこう。
用意されている公式見学場は4カ所。とはいっても事実上は二択で、最大規模の長谷展望公園か、射点に最も近い恵美之江展望公園から見ることがほとんどだろう。機体移動の前に撮影してきたため、ロケットは出ていないのだが、参考にして欲しい。
長谷展望公園
長谷展望公園は定番の見学場だ。敷地は広く、射点に向かってゆるやかに傾斜しているため、後ろの方からでも見えやすい。射点までの距離は少し遠いものの、事前抽選などはないので、気楽に行けるのが魅力だ。
恵美之江展望公園
新しく整備された恵美之江展望公園は、射点への近さが最大の魅力。3kmの規制線ギリギリに位置しており、報道関係専用の竹崎展望台と方角は違うものの、ほぼ同じ距離から見ることができる。ただ、こちらは事前抽選のみなので、その点は注意して欲しい。