中国最大のファウンドリであるSemiconductor Manufacturing International(SMIC)は2月9日、2022年第4四半期(10-12月期)の決算業績を発表した。
それによると、同四半期の連結売上高は前年同期比2.6%増、前四半期比15.0%減の16億2127万ドルとなり、事前ガイダンス(前四半期比13~15%減)の範囲に収まる結果となった。また、純利益は前年同期比27.8%減、前四半期比18.1%減の3億8553万ドルとなり、その結果、2022年通年の売上高は、前年比33.6%増の72億7330万ドル、純利益は同7%増の18億1790万ドルとなったとしている。
第4四半期売上高の25.3%が米国向け
2022年第4四半期の用途別で見た売上高比率は、スマートフォン(スマホ)向けが28.6%(前四半期比2.6ポイント増)、コンシューマー・エレクトロニクス向けが21.6%(同1.7ポイント減)、スマートホーム向けが10.8%(同4.1ポイント減)、その他向けが39.0%となっている。
また、地域別の売上高比率は、中国向けが69.1%となっているほか、北米向けが25.3%、欧州・アジア向けが5.6%となっており、米中デカップリング(分断)が激化する北米向けが割合を高めている点が注目される。
ウェハ出荷量(8インチ換算)は前年同期比8.7%減、前四半期比12.4%減の157万4068枚となったほか、設備稼働率は前年同期比19.9ポイント減の79.5%へと落ち込んだが、同四半期の月産能力は71万4000枚(8インチ換算)で、前年同期から9万3000枚ほど増加している。
このほか、第4四半期の設備投資額は前四半期比9.0%増の19億8710万ドルで、2022年通年は前年比約4割増の63億5000万ドルとなり過去最高額を更新した。
なお、SMICは、米国政府による対中半導体規制の対象外とされている成熟プロセス用製造装置を大量に購入することで、2025年の生産能力を2021年時点の約2倍に増やす計画を掲げており、北京市、上海市、天津市、広東省にて生産能力月産10万枚程度の巨大工場の建設を進めている。その生産規模が実現されれば、対中先端半導体規制のかからない成熟プロセスによるボリュームゾーンの半導体製品については将来、中国勢が事実上独占するのではないかと懸念する向きもある。