東北大学は1月26日、光ファイバの製造技術である熱延伸プロセスを活用し、繊細かつ柔軟なポリマー製ファイバとして線径を数百μm程度まで細くしながらも、屈曲変形および神経伝達物質をモニタリングする機能を備えた多機能性カテーテルの開発に成功し、分岐した血管と血流をモデルとした実験系においてその有効性を確認したことを発表した。

同成果は、東北大 学際科学フロンティア研究所の郭媛元助教、同・佐藤雄一研究員らの研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行するエンジニアリング材料に関する全般を扱う学術誌「ACS Applied Engineering Materials」に掲載された。

現在の医療において、治療や生体検査などで広く活用されている医療用カテーテルだが、ヒトの身体のあらゆる場所に対して利用できるかというと、患者の体内深部における毛細血管や肺の気管支末端など、数百μmという微細さに加え、複雑な分岐構造を有する部分への適用はまだ難しいとされている。そうした微小かつ複雑な部位の検査・治療に対応するためのカテーテルには、微細な線径と確実に目標へと向かえる仕組みなどが求められているためだという。

しかし、微細化を進めると、目標に向かうための機能や検査用のセンサなどを備えるのが難しくなり、機能を盛り込むと線径が太くなってしまうというトレードオフの関係が課題となっていた。従来のように一層ずつ機能を集積化する製造方法では、多機能化とダウンサイジングの両立は不可能だという。

そこで研究チームは今回、先端を屈曲運動させるアクチュエータ、化学センシング、光路や微小流路などの多様な機能を、数百μm以下のファイバに集積する新しい多機能カテーテルの製造技術を開発することにしたとする。