横浜国立大学(横浜国大)と神戸大学は12月8日、アンモニアやホルムアルデヒドなど、宇宙に豊富に存在する単純な物質を含む水溶液に放射線(ガンマ線)を照射したところ、加水分解後にアミノ酸が生成されることを発見したと発表した。

同成果は、横浜国大大学院 理工学府の癸生川陽子准教授、同・浅野伸哉大学院生(研究当時)、同・小林憲正名誉教授、神戸大大学院 人間発達環境学研究科の谷篤史准教授、東京工業大学の依田功主任技術専門員らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行する化学に関連する分野全般を幅広く扱う学際的な学術誌「ACS Central Science」に掲載された。

地球の最初の生命がいつどこでどのように誕生したのかは、確たる証拠がないため、研究者の間でも意見が分かれた状態が長らく続いている。地球がおよそ46億年前に誕生した直後は、全球が溶けたマグマオーシャンであり、冷えて固まった後も、熱に弱い生命の素となる有機物は存在しない不毛な大地だったと考えられている。

その不毛な地球に生命の素を届けた可能性があるのが、アミノ酸などの有機物を含む炭素質コンドライト隕石だという。地球が誕生して間もない当時は、現在よりも遥かに多量に隕石が地球に降り注いでいたと考えられており、炭素質コンドライト隕石は地球生命の誕生に貢献した可能性があるとされてきた。しかし、比較的シンプルな有機物は宇宙の至る所に存在しているのが確認されているものの、隕石に含まれるより複雑なアミノ酸の起源については良く分かっていなかったという。

研究チームはこれまでの実験で、アンモニアとホルムアルデヒドのような単純な分子同士が熱水中で反応することにより、アミノ酸などの分子が形成されることを報告済みであり、そうした研究の中、今回は、初期の隕石母天体などに存在したことが知られている、半減期の短いアルミニウム26(26Al)などの放射性元素に注目したという。26Alなどが崩壊する際に放出される高エネルギー放射線のガンマ線が、生体分子を作るのに直接関与した可能性があると考察し、ガンマ線の照射実験を行うことにしたとする。