電子情報技術産業協会(JEITA)は11月29日、11月15日~17日の3日間、広島で開催された「WSTS(WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICS:世界半導体市場統計)」の2022年秋季半導体市場予測会議を踏まえた市場予測を公開した。

WSTSの市場予測は加盟40社がWSTSの集計した半導体市場統計を参照して作成した予測値を基に、マクロ経済や主要電子機器の動向も参考にしながら検討を加えて作成したもの。2022年秋季予測は、2022年9月までの実績値を基に作成されたもので、半導体市場の定義は、半導体メーカの国籍や生産工場の場所には関係なく、「半導体製品が半導体メーカから第三者に販売された地域」を意味している。

2023年は4年ぶりのマイナス成長予測

それによると、2021年の半導体市場は前年比26.2%とコロナ特需で急成長したが、2022年は年初こそ2021年の勢いを維持していたが、徐々に特需が終わり、世界的なインフレ、ロシアのウクライナ侵攻の長期化などに伴う個人向け電子機器需要の低迷などを背景に、市場成長率は同4.4%増の5801億2600万ドルに留まると予測している。

2023年についても、自動車のエレクトロニクス化や再生エネルギー関連投資などが下支えするものの、前半は2022年後半からの市況悪化の影響が継続することが見込まれることから、通年でも同4.1%減の5565億6800万ドルと、2019年以来、4年ぶりのマイナス成長を予測している。

  • WSTSの2022年秋季半導体市場予測における地域別の市場予測

    WSTSの2022年秋季半導体市場予測における地域別の市場予測 (出所:WSTS)

また、製品別で見ると、2022年はディスクリートが同12.4%増の341億ドル、オプトが同0.9%増の438億ドル、センサが同16.3%増の223億ドル、IC全体で同3.7%増の4800億ドルと予測している。ICを製品別で見ると、メモリが同12.6%減、マイクロも同1.8%減とマイナス成長となるが、ロジックは同14.5%増、アナログも同20.8%増とプラス成長を予測している。

2023年については、ディスクリートが同2.8%増の351億ドル、オプトが同3.7%増の454億ドル、センサが同3.7%増の231億ドル、そしてIC全体が同5.6%減の4530億ドルと予測している。ICを製品別に見ると、メモリが同17.0%減、マイクロも同4.5%減とマイナス成長が続くほか、ロジックも同1.2%減とマイナス成長に転じ、プラス成長はアナログの同1.6%増のみとの予測となっている。

  • WSTSの2022年秋季半導体市場予測における製品別の市場予測

    WSTSの2022年秋季半導体市場予測における製品別の市場予測 (出所:WSTS)

日本市場は2023年もプラス成長の予測

なお、日本市場のみを見ると、円ベースに換算した場合となるが、2022年は同30.7%増の約6兆2785億円、2023年も同6.2%増の約6兆6684億円としており、円安効果が大きく、過去最高を更新し続けると予測している。