内田洋行は11月28日、埼玉県鴻巣市とPBL型学習(問題解決型学習)と21世紀スキル育成のための教育推進について同市と事業締結を行い、そのための研究推進の場として鴻巣市立鴻巣中央小学校に開設した「のすっ子未来教室」の完成記念式典を開催した。インテルはその教室内で活用するPCやモニター等のICT機材と教員研修について支援したことを発表した。
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左から永塚 壽一氏(鴻巣市立鴻巣中央小学校 校長)、齊藤 隆志氏(鴻巣市教育委員会 教育部部長)、高橋 大造氏(インテル執行役員パートナー事業本部 本部長)、大久保 昇氏(内田洋行 代表取締役社長)、望月 栄氏(鴻巣市教育委員会教育長)、並木 正年氏(鴻巣市長)
最先端のICT機器がそろう「のすっ子未来教室」
今回、完成が発表された「のすっ子未来教室」とは、元々鴻巣市鴻巣中央小学校のPC室であった場所を内田洋行とインテルと連携することで、最先端のICT機器を実装した学習空間に生まれ変わらせたもので、「鴻巣市モデル」の取り組みの1つ。
鴻巣市モデルとは、2021年4月にGIGAスクール構想を支えるモデルケースとなるべく始動した取り組みのこと。当時、全国として初めてだった学術情報ネットワークSINETに直結するMicrosoft Azureを活用した強固なセキュリティ基盤や、埼玉県として初めてだった全教職員にセキュリティの高いテレワーク環境を整備した。これらにより、ワークライフバランスを向上させたり、校務を完全電子化し負担の軽減を行ったりすることで子どもと向き合う時間の創出をするなど、全国に先駆けた先進的な取り組みを行っている。
「のすっ子未来教室」は、発表ステージの場を意識したアーチ型のカーペットが広がる空間で、デジタルでの発表・創作活動を重要視した実験教室として活用される予定だという。
その特徴として、生徒の「もっと伝えたい」「もっと発表したい」という気持ちを刺激するため、最新のICT機器を自在に実装できる空間構築ユニットであるsmartInfillと大型スクリーンを設置し、遠隔地と等身大サイズで授業が行える大画面マルチプレゼンテーションシステム「RealSizePresenter」を用いて、児童・生徒が制作するデジタル作品を大画面に効果的に投影できる環境を整え、意欲が湧く空間になっていることがある。
加えて、生徒端末から大画面スクリーンに簡単に画面投影できるワイヤレス画面転送装置「wiviaR+」によって、生徒同士の作品やまとめ方法を比較し、グループディスカッションを行えるコミュニケーションが生まれる教室空間になっていることも特徴の1つになっている。
「のすっ子未来教室」初の授業に子どもたちの声は?
今回の完成披露はメディア向けだけでなく、同校の生徒たちにとっても、「のすっ子未来教室」における初めての授業の日となっていた。以下、6年3組の生徒の皆さんが「身の回りにある『プログラム』を探してみよう!」というテーマの下、授業を受けていたのでその一部始終を紹介する。
授業の初めにアイスブレイクとして行われたのは、市の名前にも使用されているコウノトリにまつわるクイズだった。
内田洋行の先生役の矢島氏が大型モニターの前に立ちながら、生徒の目の前に右と左で2羽の異なる鳥の写真を映し出し、生徒たちから本物のコウノトリはどちらかを聞くこのクイズ。生徒たちは、初めて体験する大型のモニターを活用した授業に臆することなく、元気よく手を挙げて答えていた。
また正解のコウノトリが分かった後は、先生がモニターに映る写真の大きさを変更し、実際のコウノトリを原寸大でモニターに映し出しながら、コウノトリのサイズを教えていた。
羽を広げて飛ぶ原寸大の大きなコウノトリの姿に教室では、
「こんなに大きかったんだ!」 「初めて飛んでいる姿を見た!」
と興奮気味な生徒たちの声が聞かれた。
そして、本題に入り、「身の回りにある『プログラム』を探してみよう!」の授業に入ると、4人1組で構成されたグループの生徒たちの手元に紙が配られ、その紙に身の回りにある「プログラム」が組まれているものを書き出すターンが始まった。
生徒たちは、授業の最初に先生から出された「自動ドア」という例をもとに、「これもプログラムが使われている」「あれはプログラムじゃないかもしれない」などと、グループで話し合いながら紙を埋めていた。
アイデアを出す時間が終わると、紙に書いたものを写真に撮って目の前の大型モニターに映し出し、ほかのグループはどんな意見が出ていたのか、クラス全体で共有する時間となっていた。
初めて最先端のICT機器を活用して授業を行った生徒たちからは、以下のような声を聞くことができた。
「普段は調べ学習などで使用することが多いので、グループワークに使うことができて楽しかったです」(6年3組 男子生徒)
「実際の動物の大きさが分かるのが面白かったです。実際にもっと大きな動物だったらどんな風に写るんだろうと考えるとわくわくしました」(6年3組 女子生徒)