飲酒運転の撲滅のため、ドライバーへのアルコールチェックを義務化する動きが強まっています。白ナンバー事業者に対してもアルコールチェックを義務化することが今後予定されています。
そのような状況を踏まえ、日本テレマティークはアルコールチェックをクラウドで管理できるサービス「アル検くん」をリリースしました。そこで、同社のネクストソリューション創出グループの藁科公義氏と保坂泰彦氏に、同サービス開発の背景、開発における工夫や苦労について伺いました。
直行直帰型の飲酒チェックニーズに対応したクラウドサービスの開発
--飲酒チェックが必須となる傾向が強くなる一方、負担に感じる事業者も多いと思います。「アル検くん」を開発された背景やきっかけについて教えてください--
藁科氏: 昨年6月に千葉県八街市において発生した白ナンバートラックの飲酒事故を受け、白ナンバーの事業者においても、アルコール検知器を用いた飲酒チェックの義務化が今年の10月1日より予定されていました(現在は、アルコール検知器の安定供給の目処が立つまで施行延期)。
当社では、以前からコロナ禍における顔認識、体表面温度測定、マスクチェックを行う「EG-Keeper」というAIカメラソリューションを取り扱っていました。そのため、当初は「EG-Keeper」を事業所に設置し、アルコール検知器と連携させることで、ドライバーの本人性確認、健康管理、アルコールチェックを同時に測定できるサービスとして開発を始めていました。
--「アル検くん」は、事業所など、1カ所に集まって行うのではなく、リモートで飲酒チェックをできる点も大きな特徴ですね--
藁科氏: 現場で飲酒チェックを行ってそのまま現場から帰宅するという直行直帰型のお客様のニーズは大きかったです。そこで、管理者がドライバーの本人性を写真で確認しつつ、アルコールチェックを実施・記録できる仕組み作りができないかということから、新たにクラウド経由での管理サービスである「アル検くん」の開発が始まりました。
--「アル検くん」で想定している顧客層は中小企業が多いのでしょうか?--
藁科氏: はい。安全運転管理者を定めている事業所は全国で34万社あり、そのうち約7割が中小企業です。提供プランでも、ライトプランが10 ID(管理者と運転者の合計)と、小規模事業者でも導入できるようにしました。
ITに慣れていない人でも簡単に使えることを重視
--競合のサービスと比較して、「アル検くん」が持つ強みは何でしょうか?--
藁科氏: 中小の白ナンバー事業者では、高齢者が運転されるケースも多いです。そのため、ユーザー目線で考えると、複雑な操作が必要なシステムでは使ってもらえないでしょう。「アル検くん」はITに慣れていない方でも簡単に操作できることを重視して開発しました。
現場の方はAppストアやGoogle Playストアからアプリをインストールしてパスワードを入力すれば、「アル検くん」が使えるようになるので、手間がかかりません。
--ドライバーが直行直帰で飲酒チェックができる一方、管理者も作業が楽になりそうですね--
藁科氏: 「アル検くん」では、管理者がチェック結果を入力する必要がなく、飲酒チェックの結果が自動的にクラウドへ記録されます。チェック状況はクラウド上でいつでも確認できるので、誰が受けたのかがすぐに分かります。また、万が一アルコールが検知された場合、アラートが管理者に届く仕組みになっています。
さらに、支援窓口サービスも用意しているので、分からないことがあれば、メールもしくは電話で、2回まで当社がサポートします。非常にシンプルで分かりやすいシステムなので、サポート回数は2回で十分と考えています。