新型コロナウイルス感染症の流行でリモートワークが浸透し、働き方や仕事に対する人々の考え方が変化している。「働く」ということ、これからの“仕事”はどうなっていくのだろうか? ――10月25日、26日に開催された「ビジネス・フォーラム事務局×TECH+フォーラム 業務効率改善 Day 2022 Oct. 自社にいま必要な『業務効率化』を見極める」で、圓窓 代表取締役の澤円氏が、仕事とデジタルを切り口に語った。
【あわせて読みたい】「自社にいま必要な『業務効率化』を見極める」その他のレポートはこちら25年ぶりの“リセットボタン”で、人はデータを信じるようになった
未だ収束していない新型コロナウイルス感染症は、人々の働き方に大きな影響を与えた。大きなものとして、リモートワークの導入、業務のデジタル化の加速などがあるだろう。
澤氏は新型コロナウイルスの世界的流行を「25年ぶりにリセットボタンが押された」出来事だと位置付ける。前回のリセットボタンは、Windows95の発売に代表されるインターネットの普及の始まり。1995年が「インターネット元年」とすれば、2020年は「リモートワーク元年」だと言え、「仕事をすることと出勤をすることが切り離された元年」でもあると、澤氏は補足する。
その背景として、人がデータを信じる生き物へと進化をしていることがあるという。同氏はECサイトを例に取り、「ECサイトでの買い物は、販売ページのコンテンツを買っていること。コンテンツを買ったことが、買い物をしたと脳内で変換されている」と説明。実際の商品を手にしているわけではないが、カード情報を登録し、購入手続きを行うという行為自体を、人がデータを信じている証だとした。
「データを活用することが経済を回すことにつながっています。全ての企業、全ての組織はテクノロジーカンパニーになっていると言えるのです。そこでは、データを信用できないとビジネスは成立しません」(澤氏)
2020年はそこに向けたターニングポイントになった年なのだ。
クラウドへの移行の仕方
デジタルは人類のインフラになり、それを支えるITのトレンドとして、クラウドの発展が挙げられる。クラウドは必要な分だけ使え、サブスク形式でサービスを利用することができる。澤氏はクラウドについて、「ITビジネスを進化させただけでなく、ビジネス自体も進化させている」と述べる。
そこで想起されるキーワードがDXだが、同氏は「既存業務のデジタル化はデジタライゼーションに過ぎず、DXとは事業そのものを根っこからデジタル化すること」だと説明。合わせて、全てのビジネスは社会貢献という観点が大切であることも強調した。
「どのように社会貢献していくのかを、所属している組織全員が理解していることが重要です。社会貢献するのに必要なパワーの源泉がITなのです」(澤氏)
パワーを効率良く手に入れる1つの方法がクラウドだが、澤氏はクラウドへの移行について、家の引っ越しに例え、「不用品の処理」「暮らし方を変える」といった表現でアドバイスした。
「不用品の処理」とは、不要なものはクラウドに持っていかないということ。「暮らし方を変える」とは、これまでのやり方を通そうとしないことを意味する。オンプレミスとクラウドでは性質や特徴が異なるため、そのまま移行するとミスマッチが起こるリスクがある。まずはクラウドに持っていくものかどうかを見極めなければならないが、そのための作業に大量の時間を費やしかねない。そこで、「時間」をパラメーターにするアプローチが紹介された。システムの利用時間、データアクセスの頻度、最後のアクセスなどを見て、古いものについては別のストレージにアーカイブすることを提案した。