昭和電工は11月1日、2023年1月に昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が経営統合され「Resonac(レゾナック)」に社名を変更するのを前に、半導体材料事業に対する考え方の説明を行うメディアに対するラウンドテーブルを開催。今後の事業の方向性などを示した。

  • 真岡朋光氏

    昭和電工の取締役 常務執行役員 CSOである真岡朋光氏。2021年10月に同社に入社。それ以前は、インフィニオンやルネサスなど半導体デバイスメーカーでの経験も有している

経営統合で高まる半導体材料メーカーとしての存在感

登壇した昭和電工の取締役 常務執行役員 CSOである真岡朋光氏は、「(2023年1月のレゾナック誕生は)第2の創業として位置付けており、ブランドも新たに新しい道を歩み始めることとなる」と説明。経営統合により、売り上げ規模はおよそ1.4兆円となると見込まれ、化学業界においてもトップクラスの企業ととなり、世界で戦える事業規模を得ることになるとする。

  • レゾナック

    2023年1月に昭和電工と昭和電工マテリアルズが経営統合し、「レゾナック」へと社名変更が行われる (出所:昭和電工 メディアラウンドテーブル)

また、単に売り上げ規模だけが大きくなったわけではなく、半導体材料メーカーとしてもトップクラスの企業になるとする。同社の調べによると、2021年の半導体材料分野の売上高ランキングでトップ3に入るという。1位ならびに2位はシリコンウェハメーカーであるため、実質的に、ガスや研磨剤、パッケージ工程材などのメーカーとしてはトップであり、かつ後工程分野に限った売上高ランキングではトップに立つという。

  • 半導体材料メーカー売上高ランキング

    半導体材料メーカー売上高ランキング(昭和電工調べ)。全体で3位、後工程ではトップに昭和電工は位置づけられている (出所:昭和電工 メディアラウンドテーブル)

「近年、3D ICなど、プロセス微細化の限界を見据え、後工程におけるイノベーションの重要性が増してきている。そうした中で、後工程分野で存在感を示せているというのは時流としてちょうどよい位置にいると思っている。また、全体として手広くやって売り上げが大きいのではなく、各セグメントでシェア1-2位の製品を多く有していることが強みとなる」(同)と、自社の強みを説明。現在、半導体市況は軟調気味になってきているが、世の中がデジタル化に進むというトレンド自体は消えておらず、今後も半導体の適用分野は拡大していくことから、出荷個数そのものは増加するため、消耗材である半導体材料市場は成長と続けることが期待され、中でも3D NANDのさらなる高層化や、パッケージ技術の高度化に関連する材料は高い伸びが期待されるとする。

新型コロナのパンデミックによる社会のデジタル化の加速、米中貿易戦争、世界的な環境規制の強化など、さまざまな社会トレンドの中核に半導体は位置するが、その進化の一端を担ってきたのがさまざまな半導体材料である。半導体サプライチェーンを考えると、シリコンウェハの製造から、前工程、後工程、システムへの搭載まで、すべてを抑えることが最終的に求められる可能性が高い。そうした中、日本は半導体が弱くなったといっても、それを製造するための製造装置、そしてシリコンウェハを筆頭とする材料分野では、逆に強い存在感を示している。製造装置で言えば、2021年の売上高ランキングトップ15社中7社が日本メーカーと最多であるし、材料の最大市場であるシリコンウェハのトップ2社も日本企業であるし、昭和電工をはじめとする多くの化学メーカーが、それぞれの得意分野で高いシェアを有している。

  • 半導体材料はあらゆる社会トレンドに関わってくる

    半導体材料はあらゆる社会トレンドに関わってくる (出所:昭和電工 メディアラウンドテーブル)

プロセスが多岐にわたるため、その数も多い半導体材料メーカーだが、真岡氏は大きく3つに分類できるとの見方を示す。1つ目はシリコンウェハメーカー。2つ目は少数のサブセグメントで強みを持つニッチマーケットプレイヤー。そして3つ目が複数のサブセグメントにわたり高い市場シェアを有するプレイヤーで、この3番目に昭和電工グループは位置づけられるとする。しかも、材料メーカーもM&Aが必要な事業環境になってきており、同社はそうした業界の流れに先んじて日立化成を買収したことで、業界をリードできる存在になったとする。