千葉県・幕張メッセにて10月26日から28日にかけて開催されている第13回Japan IT Week 秋において、Infineon Technologiesの日本法人であるインフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、スマートホームの最新規格「Matter」に準拠したソリューションの紹介などを行っている。
Matterの普及を目指す
Matterは、無線通信規格標準化団体「Connectivity Standards Alliance(CSA:旧ZigBee Alliance)」が推進するスマートホームのための通信規格。2022年10月4日には、「1.0」の公開ならびに認証プログラムのスタートがアナウンスされている。
Infineonは、このMatterプロジェクトの主要セキュリティチームのリーダーを務めており、Connected Home over IP(CHIP)規格(Matter)に準拠するシステム構築に必要な機能の提供などを行ってきたという。そうしたMatterの策定に深くかかわってきた同社が今回披露しているのが、PSoC 6の中でもセキュリティ機能を搭載した「PSoC 64」を活用したスマートロックのデモである。
PSoCシリーズには、(買収前のCypress Semiconductor時代から有する)独自の静電容量タッチセンシング技術「CAPSENSE」が採用されている。デモは、そうした技術を活用し、非接触でスマートロックの開錠コードを入力するといった流れを見ることができるものとなっている。
第5世代CAPSENSEがもうすぐ登場
また、第5世代CAPSENSE技術についても参考展示ながらデモが行われている。
現行のPSoCシリーズに搭載されているのは第4世代CAPSENSEで、第5世代は次世代のPSoC 4シリーズに搭載される予定の技術。量産までには至っておらず、現在、エンジニアリングサンプルを搭載した評価ボードを限られた顧客に向けて提供している段階のため、参考展示としているという。
この第5世代CAPSENSEだが、ハードウェアレベルでのノイズ成分の検出アーキテクチャを変更することで、ノイズ耐性を向上。より小さな信号でも検出できるようにしたとのことで、前世代比で10倍の性能向上を果たしたと同社では説明している。
また、従来のCAPSENSEはCPUのモードがアクティブもしくはスリープモードまでしか対応できていなかったが、第5世代CAPSENSEでは、新たにディープスリープモードにも対応。そのため、Wake on Touch機能が活用できるようになり、それにより前世代比で1/10の消費電力での活用が可能になるとしている。
実際に、各モードでの消費電力を見ることができるデモでは、アクティブ時で300μA程度、スリープ時で70~80μA程度、ディープスリープ時で5μA程度の消費電流で動作していることが見て取れた。
パートナーとともにさまざまなソリューションも展示
このほか同社ブースでは、同社の技術パートナーによるソリューションデモも展示されている。例えばシステックは第4世代CAPSENSE技術を活用したデモとして、静電容量センシングによるゲームコントローラや、1個のPSoCで2本指でタッチして、複数の動作を可能とするマルチタッチリング、フィルム液晶そのものを検出センサとして活用した液晶フィルムセンシングなどを披露している。
また、ユビキタスAIは、IoT製品向け組込みソフトウェアのオールインワンパッケージ「Ubiquitous RTOS IoT Enabler」に組込向け機械学習ライブラリ「Ekkono」を実装したジェスター認識機器のデモをPSoC上で行っている。今回のデモでは使ってないが、インターネット接続を行わず、エッジ側でリアルタイムに学習・推論を実行することも可能だとのことで、以前に比べてジェスチャーパターンの認識精度を向上させたバージョンとして出展しているという。