Intelは、中国大連のNAND工場Fab 68(2025年3月まで段階的にSK hynixに売却中)への米国製半導体製造装置の納入に関して米商務省から今後1年間にわたり輸出規制を猶予するとの通知を受け取ったと、自社の公式Twitterにて明らかにした。

一方、SK hynixも米国商務省との協議により、中国の自社半導体生産施設に必要な製造装置を今後1年間、商務省からの個別許可なく供給できるようになったと明らかにしたことを複数の韓国メディアが報じている。Samsung Electronicsも同様な許可を得た模様だが、公式には発表していないようである。

SK hynix関係者からは、「中国で半導体製品の生産を持続できるよう米国と円満に協議できた」という話がでているほか、「今後も韓国政府と米国商務省と緊密に協議して国際秩序を遵守する範囲内で中国工場を運営できるように努力する」と方向性を調整しているともしている。SK hynixは、韓国政府とともに、グローバル市場への半導体供給を円滑にするために中国の工場への持続的な製造装置供給が必要であることを米国側に以前から強調していたという。

米国商務省は10月7日、技術14/16nmプロセス以下のロジック半導体、ハーフピッチ18nm以下のDRAM、128層以上の3D NANDを中国で製造するための米国製装置の輸出を原則禁止とし、中国に工場を持つ外資系企業についてはケースバイケースでその都度ライセンス発行の可否を判断すると発表していた。この輸出規制の一部は段階的に実施するとしており、実際にSK hynixとIntelは、この規制適用を1年間猶予されたことになる。

SK hynixの中国無錫工場と大連工場(Intelから段階的に譲受中)はそれぞれSK hynixのDRAM生産量の5割とNAND生産量の2~3割を担っている。

韓国勢は、今後1年間は許可なく先端製造装置を中国の自社工場に導入できるようになったと胸をなでおろす一方、不透明さはむしろ高まったと見方を示している。1年後、実際に規制がどうなるかは米商務省の判断にかかっているため、中長期的な不確実性が依然として残っており、中国にある半導体工場の将来の運営は、米国政府の思いのままという状況になりかねないからである。