実際のデュアルコム干渉計を用いた精密計測は、光のパルス1とパルス2が、Δtだけ異なる時間にデバイス表面で反射されることで行われる。その時間差Δtの間に、弾性表面波によってデバイス表面が変位するため、光パルスが反射される位置が変化。デュアルコム干渉計測では、その反射位置の変化を反射光の位相変化として観測することが可能であり、観測したい反射面からの干渉信号と、それ以外の干渉信号が時間的に分離されることから、デバイスからの反射信号を容易に抽出することができ、それにより測定の定量性を向上させることができるようになるという。

また、パルス1とパルス2について同じ光学経路を互いに逆方向に通るように測定系の工夫がなされ、光学経路の経時変化による不安定性の影響を低減し、計測時間を増やし、積算回数を増やすことで、最終的に4pmの精度で弾性表面波の振動量を決定することに成功したとする。

  • 今回の研究の概要図

    (左)今回の研究の概要図。(中央)実際に得られたパルス1のデュアルコム干渉信号。四角い点線で囲ったピーク信号がデバイス表面で反射された光による干渉信号で、そのほかのピーク信号は光学系のほかの場所で反射された光による干渉信号だ。(右)振動量の測定精度を表すアラン偏差の計測時間依存性 (出所:慶大プレスリリースPDF)

なお研究チームは現在、弾性表面波を利用した、新しい磁気デバイスに焦点を当てた研究を進めているとしているほか、今後、デバイス表面の定量的な振動量から磁気生成量を見積もり、その効率を調べることで弾性表面波励起による磁気励起の起源を明らかにする取り組みを進めていくとしている。