単位とはなにか?

長さを表すメートル、質量を表すキログラム、時間を表す秒、電流を表すアンペア、熱力学温度を表すケルビン、物質量のモル、光度のカンデラの7つは、SI(国際単位系)として定義された単位で、基本単位と呼ばれている。

この中で、現在、質量については、「国際キログラム原器」と呼ばれる器物がもととなっており、教科書(資料など含む)などで、それを元にして作られた分銅が作られ、それが質量を計るうえでの基準として生活の中で活用されていると教えられた人も多いかと思う。そんな「キログラム」の定義がおよそ130年ぶりに改定されようとしている。

そもそも単位というものは、古来、人間の身体の部位や植物の大きさなどを元にしたものから用いられ始めたとされるが、そうしたものは人によってまちまちであったり、作物も生育状況により変わってくるため、大まかな計測ではそれほど問題にならないが、細かい計測をしようと思うと誤差が大きくなるという課題があった。そこで、正確に単位が決まっていないと、正しい計測ができないということで、メートル条約が1875年5月20日に締結。30本の「メートル原器」と40個の「キログラム原器」が製造された。

  • 「日本国キログラム原器」の金庫
  • 「日本国キログラム原器」の金庫
  • 「日本国キログラム原器」の金庫
  • 「日本国キログラム原器」
  • 2018年11月12日までに産業技術総合研究所(産総研)が報道陣に公開した「日本国キログラム原器」と、それを保管している原器用金庫(原器庫)の様子。台座や部屋を覆う壁はステンレス製で、これまでに複数回の改修が施されてきたが、金庫そのものは約130年間、基本的には手が加えられていない。金庫は表側が鉄製。内部は桐でできている。また、原器庫は原器の質量の変動を抑えるため、常時温度20℃、湿度0%の環境が維持されるようになっている。日本に原器が到着したのは1890年のことである

単位は、それを決定する約束事となる「定義」、その約束事から実際に基準を作り出す「現示」、そして現示によって作り出された量そのものを示す器物である「原器」の3つが成り立つことで普遍のものとして定められる。そうした単位の中でも7つの基本単位はエリート中のエリートの存在であり、それぞれの量を組み合わせると、別の量を表すことができることが知られている。

唯一、原器に頼る存在となっていた「キログラム」

長さは長い間、「メートル原器」と呼ばれる捧の長さが1mとされて用いられてきた。1875年にメートル条約が締結され、欧州を中心に17か国が批准して以降、日本も1885年に加盟。作成された30本のメートル原器のうち、No.22が1890年に日本に到着。以降、1960年に、1秒の299792458分の1の時間に光が真空中を伝わる工程の長さ、と新たな定義づけがなされた結果、原器としての役割を終え、2012年に重要文化財の指定を受け、現在に至っている。

このため7つの基本単位のうちキログラムだけ、"原器"とぃう存在が現在も用いられていたのだが、メートル原器のそうだが、いくら熱膨張係数が小さいこと、経年変化が小さいこと、硬いこと、などの要求を満たして製造されたとはいえ、物質である限り、永久不変である保証はどこにもない。また、キログラム原器は現在、国際度量衡局(BIPM)と呼ばれる独立した組織が仏政府から寄贈されたフランス・パリ郊外にある建物を拠点に、厳重に保管されているが、天変地異などによって、消失したり、変化が生じないとも限らない(実際、日本のメートル原器は、太平洋戦争の最中、空襲の被害による消失懸念から、疎開が行なわれたほか、関東大震災の際にはBIPMに送られていたことから、保管場所のほとんどが灰燼に帰すという損害をこうむりつつも、無事であった)。