住友ベークライト(住ベ)は、半導体封止材の中国子会社(蘇州住友電木)が約66億円を投じて半導体封止用エポキシ樹脂成形材料のための新工場を中国・江蘇省に建設し、現地生産能力を3割増強することを発表した。

新工場は敷地面積が約6万平方メートルで、既存工場(江蘇省蘇州市)の約2倍の広さ。最終的に、現地生産能力は最大2倍規模になるという。半導体封止用エポキシ樹脂材料「スミコンEME」を生産し、増加する中国内の後工程工場に拡販することを目指すとしている。

  • 蘇州住友電木の新工場完成予想図

    蘇州住友電木の新工場完成予想図 (出所:住友ベークライト)

住友ベークライトは半導体封止用エポキシ樹脂成形材(スミコンEME)の大手で、同社の調査では世界シェア40%を握っているとする。中国は現在、半導体封止材の世界最大の消費地であり、同社も1997年より現地での生産を開始し、2021年7月にはラインの増設を実施し、中国市場からのニーズに対応することを進めてきた。今回、将来的にさらに需要の拡大が見込まれることから、半導体封止材の十分な供給能力確保を目的に、新たに蘇州工業園区内に土地を確保、工場を建設することにしたという。

新工場用は2023年度内に建屋、生産ラインを設置完了し、2024年度初頭から生産を開始する計画だという。

九州には高機能製品の生産ライン増設

また同社は、中国での新工場建設に先立ち、子会社の九州住友ベークライトに、先端半導体圧縮成形用封止樹脂に適した生産設備を新規に導入し、新技術を適用した生産ラインでの試作を今秋から開始し、約半年後の量産開始を目指していることを明らかにしている。

こちらの投資額は約4億円。半導体封止用樹脂は、九州住友ベークライトと蘇州住友電木で生産・販売しているが、高機能製品は九州で量産するという。

新ラインは、半導体パッケージのさらなる薄型化・小型化に対応することを目的とした微細な顆粒状原料を使用しつつ同時に高い分散性を実現できる製品の量産を可能とするラインだとしており、今後需要が急増する見込みのSiP(System in Package)、FOWLP(Fan Out Wafer Level Package)、PLP(Panel Level Packaging)などの先端パッケージング技術に対応しており、この分野ではシェアの維持・拡大を目指すと同社では説明している。

  • 高機能パッケージング材料の生産拠点である九州住友ベークライト

    高機能パッケージング材料の生産拠点である九州住友ベークライト (出所:住友ベークライト)