京都大学(京大)と国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は、「ブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)」の操作が得意な人と苦手な人では、脳の神経回路の使い方が異なることを発見したと発表した。

同成果は、京大大学院 医学研究科の花川隆教授(NCNP IBIC先進脳画像研究部 特任部長兼任)、産業技術総合研究所の笠原和美研究員らの共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系の生物学を扱うオープンアクセスジャーナル「Communications Biology」に掲載された。

BCI技術は脳機能を代替する技術として期待されており、BCI技術が完成すれば、病気や怪我によって手足の動作が不自由になった人が、身体を動かさなくても頭の中で想像するだけで、PCなどの情報機器を使えるようになることなどが期待されている。また、BCIで駆動するロボットアームなどで脳卒中患者のリハビリテーションを補助し、効果を高めることを目指した研究も盛んに行われている。

ただし、解決すべき課題も多く残っているという。例えば脳に電極を埋め込まないタイプの、非侵襲的脳信号計測によるBCIの操作能力は個人差が大きく、うまく使いこなせない人も多いとされ、このような個人差が生まれる原因についてもよくわかっていなかったという。

そこで研究チームは今回、身体の動きを想像した際に脳表面の運動野に出現する脳波信号を解読する非侵襲「脳波BCI」と、BCIを操作する際の脳回路活動を、空間解像度と部位同定能に優れた非侵襲脳信号測定法である「機能的MRI」による計測を同時に実施する技術を開発。

BCI操作能力の個人差に関係する神経回路を調べるため、BCI操作能力の得手不得手がさまざまな段階にある24名の健康な成人男女の協力を得て脳波を測定することにしたという。ちなみに、どの参加者も同じ程度BCIの練習をしており、BCI操作能力の差は練習の差によるものではないとしている。