東京理科大学(理科大)は7月27日、高イオン伝導性を示す新たな「固体マグネシウム(Mg2+)イオン伝導体」の開発に成功し、バッテリー電解質として必要とされる実用的なイオン伝導度である約10-3S cm-1を室温で達成したことを発表した。

同成果は、理科大理学部第一部応用化学科の貞清正彰講師、同・大学大学院理学研究科化学専攻の吉田悠人大学院生(研究当時)、東京大学大学院理学系研究科化学専攻の山田鉄兵教授、北海道大学触媒科学研究所の清水研一教授、同・鳥屋尾隆助教らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行する機関学術誌「Journal of American Chemical Society」に掲載された。

現在、多くの機器にリチウムイオン電池(LIB)が活用されるようになっているが、中でも電気自動車(EV)の場合、現行の電解液型LIBではエネルギー密度が不足しており、その性能向上に加えて安全性の確保に向け、固体電解質を用いる全固体LIBの開発が世界中で進められている。

しかしリチウムは希少でありながら、世界的な需要増加を受けて年々価格が高騰しており、2030年には需要が供給を上回ると危惧されている。そのため日本のような輸入に頼っている国家では入手が困難になることが懸念されており、そうした希少資源を使用しないポストLIBの開発も進められている。そうした中、安価・安全・高エネルギー密度の面から開発が期待されているのが、Mg2+イオンをイオンキャリアとする全固体バッテリーだという。

Mg2+イオンの大きな課題は、二価の陽イオンである点だとする。同イオンは、原子やイオンが密に充填された状態の固体中では、隣接イオンとの強い静電相互作用により安定化するため、効率的な伝播が困難とされている。そのため、電解質として実用的なMg2+イオンの伝導性を示す固体材料は、これまで発見されていなかった。

そこで研究チームは今回、密な充填構造を持たない特殊な固体である配位高分子(または金属有機構造体)に、Mg2+イオンを導入した試料を合成することにしたという。