東京電力ホールディングスら17社は6月15日、環境協創イニシアチブによる採択結果の公表を受け、リソースアグリゲーション事業の実現を目的とした分散型エネルギーリソース活用実証を同日より開始したと発表した。

近年、太陽光発電などの再生可能エネルギー(再エネ)の重要性が高まっている中、出力変動や余剰電力の発生など電力系統の安定運用に影響をおよぼす課題が顕在化しつつある。また、電力系統の安定化には発電所などによる調整が必要だが、発電設備を保有し維持するためには、高いコストが必要になる。

そのため、継続的な再エネ導入と電力系統安定化の低コストでの両立に向け、分散型エネルギーリソースを積極的に活用した新たな仕組みが必要とされているという。

これを受け、東京電力をはじめとする17社はコンソーシアムを形成し、経済産業省が環境協創イニシアチブ(SII)を通じて公募する実証事業に申請しており、SIIによって採択されたことが2022年5月27日付で公表された。

コンソーシアムに参加している17社は、東京電力ホールディングス、Goal connect、エナ・ストーン、サニックス、東京電力パワーグリッド、東光高岳、日本気象協会、本田技研工業、アズビル、エフィシエント、大崎電気工業、OKIクロステック、京セラ、グローバルエンジニアリング、東京電力エナジーパートナー、日本工営、NEC。

  • 17社によるコンソーシアム体系図

    17社によるコンソーシアム体系図(出典:東京電力ホールディングス)

東京電力によると、2016年度から2020年度にかけて行われた経済産業省の実証事業「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証費補助金」では、アグリゲーションコーディネーター(AC)システムの開発など、さまざまな技術実証メニューでリソースの制御速度向上などに取り組んだという。

今年度の実証ではこれまでの実証成果などを踏まえ、2023年2月中旬にかけて、分散型エネルギーリソースの利用促進に向けたACシステムの高度化や制御速度の向上、リソースアグリゲーター(RA)事業者を事業参入しやすくする機能の充実、市場制度の課題やビジネスモデルの検討を行うとしている。

また今回の実証事業は、送配電事業者、小売電気事業者、システム/ICT事業者、エネルギーリソースプロバイダなど、アグリゲーションビジネスにおけるすべてのステークホルダーが参加しており、世界的なエネルギー課題や環境問題を解決するための革新的なエネルギーマネジメントシステムとリソースアグリゲーション事業の確立を目指すという。

さらに将来的には、分散型エネルギーリソースの活用拡大と再エネ有効活用の環境整備を進めることで、2021年度より開設されている需給調整市場、2024年度開設予定の容量市場などへの参入を目標とするとのことだ。