東京農工大学(農工大)は6月23日、液体を大気圧プラズマに通すだけでナノミストを作製する手法を開発したと発表した。

同成果は、農工大 大学院工学府 物理システム工学専攻の渡邊良輔大学院生、同・大学院 生物システム応用科学府 食料エネルギーシステム科学専攻の田中詩織大学院生、同・大学院 工学研究院 先端物理工学部門の吉野大輔准教授、同・宮地悟代准教授らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

近年、医療分野において、薬剤を皮膚表面から体内に浸透させる「経皮吸収型ドラッグデリバリー」が注目されている。薬剤の血中濃度を長時間維持できることや効果の変動が起きにくいため副作用の軽減が期待できるといった利点があるからだという。

ただし、薬剤を皮膚から効率よく浸透させるためには薬剤のナノサイズ化が重要とされている。また、同時に液体をミスト化することで、液体粒子の数が増え、液体の総量に対する表面積が増加することから、液体の反応性を高めることが期待されており、薬剤を溶かした液体をナノミスト化することで皮膚浸透性がたかまることが期待されているともされている。

そこで研究チームは今回、液体を大気圧プラズマに通すだけでナノミスト化する手法を開発することにしたという。