HSCLAでは、観測データから空の状態や装置の特性を除去した、真の宇宙の姿を画像にまとめ、そこに写っているさまざまな天体の明るさ、色、大きさ、形などの計測結果が公開されている(HSCLAのWebサイトは英語のみ)。

2021年のリリースでは2014年に取得されたデータのみが公開されたが、今回のリリースでは、新たに2015年と2016年の比較的観測条件の良いデータ(およそ2万回の露出で総計800時間分)が追加された。最新の解析手法である「HSC pipeline v8」で処理されたデータが公開されている。

  • 横向き銀河の「NGC4244」

    およそ1300万光年ほどの距離にあるエッジオン(横向き)銀河の「NGC4244」。左下の拡大パネルでは、同銀河内の個々の星々まで分解して撮像されている (C)NAOJ (出所:すばる望遠鏡Webサイト)

なお、今回のリリースの総データ量は、中間処理のものも含めて450TBほどで、これらの追加により、HSCLA全体では約3400平方度(空の約8%の領域)が公開されたことになり、測定された天体数はおよそ7億7000万個となったという。

  • 地球からおよそ30光年のちょうこくしつ座矮小銀河

    地球からおよそ30光年のちょうこくしつ座矮小銀河。天の川銀河の衛星銀河の1つで、見かけ上は満月ほどの大きさ (C)NAOJ (出所:すばる望遠鏡Webサイト)

データ処理を行なったハワイ観測所の原沢寿美子特任専門員は「HSCLAでは、ビックデータを効率よく解析するためのツールも提供しています。これらのツールを使って、まだ誰にも見つからず埋もれている貴重な情報をHSCLAからたくさん発掘し、その楽しさを存分に味わっていただきたいです。大発見も期待しています」とコメント。

観測データは非常に膨大なため、必ずしもすべてのデータ1点1点が念入りに研究者によって調べつくされているとは限らず、貴重な天体現象などが、誰かの目にとまる日を夢見て眠ったままでいる可能性もあることから、ハワイ観測所としては、HSCLAが広く研究に活用されることを期待しているとしている。