すばる望遠鏡(国立天文台ハワイ観測所)は現地時間6月21日、すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam」(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)が共同利用観測で撮影した観測データを一般公開する「Hyper Suprime-Cam Legacy Archive」(HSCLA)の新データをリリースしたことを発表した。

すばる望遠鏡には複数の観測装置が備えられているが、「世界最大級のデジカメ」などとも例えられる8億7000万ピクセルのHSCが一度に撮像できる天域の面積は満月9個分の広さであり、毎月、新月に近い10晩ほどがHSCの観測に割り当てられ、空の広い領域が撮像されているという。

観測時間の一部は、ハワイ観測所主導の「すばる戦略枠プログラム」(通称:SSP)に使われているが、残りの時間は一般共同利用観測に当てられている。共同利用観測で撮られたデータは各観測者が責任を持って処理することになるが、処理されたデータは必ずしも一般に公開されるとは限らないという。

しかし、それらのデータの科学的価値は高く、本来の目的以外にも利用できる可能性があることから、公開されている共同利用観測の生データを処理し、世界に向けて広く公開することで、未解決の問題の手がかりや、新たな謎、新しい発見を促そうという目的で、ハワイ観測所が2021年にHSCLAを立ち上げた。