アマゾンジャパンは6月15日、「第8回Amazon Academy」と題するオンラインイベントを開催した。「Eコマースにおける知財、その保護と活用によるブランドマネジメントとは」がテーマの同イベントおける、基調講演の内容を紹介する。

知的財産保護では模倣品対策に注力

今回のイベントのテーマである知的財産の保護において、同社がとりわけ力を入れているのは模倣品対策だという。

イベントの冒頭では、アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長が「ブランド・オーナー様の専門知識とアマゾンのツールを組み合わせることで、模倣品をより効果的に特定、阻止して、知的財産保護の機能をより強化させることができると考えます」と挨拶した。

  • アマゾンジャパンのチャン社長

バンダイは模倣品対策に加え外部との関係構築も強化

続いて行われた基調講演では、バンダイの法務・知的財産部に所属し、IIPPFF(国際知的財産保護フォーラム)インターネットプロジェクトチームの幹事も務める岡崎高之氏が登壇。同氏は、模倣品対策においてアマゾンと情報交換及び協力関係の強化に関する覚書を締結したことに関連して「Eコマースで成果を出すブランド保護活動~個社から『協働』へ~」と題して、バンダイやIIPPFの活動内容について説明した。

  • バンダイの岡崎氏

岡崎氏の講演のポイントは、以下の3点だ。

1)バンダイにとってのブランド保護
2)侵害対策だけへの集中の限界
3)IIPPFでの取り組み

バンダイはキャラクターをIPと呼び、年間で約300IPの商品化を行っているという。その権利の一部は自社保有だが、多くは外部の知的財産権者からライセンスを受けており、社外と知的財産に関するコミュニケーションが多いと岡崎氏は語る。

「お客様の頭の中にあるブランド価値をどうやって守り育てるかが要点」という同氏は、そのステップとして権利保全と権利活用の2点を挙げた。

権利保全は、商標・意匠・特許の出願や著作権登録といった、一般的な手段だ。だが、これだけでは十分ではないという。同社も模倣品対策は適宜実施しているものの、「いわゆる模倣品のイタチゴッコ問題」(岡崎氏)が発生しているとのことだ。

  • 知的財産による関係構築

岡崎氏は「ブランド保護が継続的な業務だと考えた時に、どうすればポジティブな仕事の価値を与えることができるのか」との問いを投げかけ、「外部との関係を構築するという考え方」が答えだと強調する。

具体的には、「知的財産権を外部とのコミュニケーション・ツールと考えるやり方」(岡崎氏)だという。

IIPPFを通じた活動でコミュニケーションの可能性を拡大

岡崎氏によると、同社では「個社の活動だけでなく、会社の枠を超えた社外団体での活動にも力を入れている」といい、その1つが岡崎氏が幹事を務めるIIPPFを通じた活動だ。

IIPPFは模倣品・海賊版など知的財産権侵害問題の解決を目指す官民一体型のフォーラムであり、権利者企業・団体であれば無料で入会できるという。

「個社で行っている個別の侵害対策や対外PRと組み合わせることによって、知的財産権をパスポートにした外部コミュニケーションの可能性が大きく広がっています」(岡崎氏)

  • IIPPFの活動と可能性

最後に岡崎氏は、「知的財産権をお客様や社会とつながり、ブランド価値を高める協創的なコミュニケーション手段と捉えると、世界が広がると思います」と、自身の講演を締めくくった。

  • 成果につながるブランド保護の考え方