次世代コンピューティングの中心は、今後、「集中から分散へ、クラウドから実世界へ」向かう動きがさらに加速することが想定される中、少子高齢化、多発する自然災害、エネルギー・資源問題などの社会課題、また日本の技術や産業の現状より、2030年以降の産業や技術を見据え、日本が取り組むべき技術開発や産業強化について以下の3つの戦略目標と、それらを支える設計・試作・評価拠点および人材育成戦略が定められた。

  1. 社会課題の解決に資する、また製造現場やセンサにおける日本の強みを活かすための「実世界エッジコンピューティングの総合的な強化」
  2. 半導体産業における材料、製造装置、実装、パッケージ、光デバイス技術などの日本の技術や産業の強みを活かす「超分散コンピューティングに関わるチョークポイント技術の強化」
  3. 世界的な半導体サプライチェーンの中で、今後、顕在化するエネルギー・資源・環境問題に対応するための「グリーンサステナブル半導体製造技術の体系的構築」

この中で、3つめの戦略目標である「グリーンサステナブル半導体製造技術の体系的構築」では、半導体製造におけるカーボンフットプリントに関する指標を拡張し、グリーンサステナブルの視点を取り入れながら技術の高度化を進める指標の構築を目指すとし、重要視されている。

  • 実世界エッジコンピューティングを中心とした戦略の概念図

    実世界エッジコンピューティングを中心とした戦略の概念図 (出所:産総研Webサイト)

そのため、半導体製造産業に大規模生産・高性能追求に加えて、持続的な発展に必要な方向性を与え、資源消費最小化の視点から新たな付加価値を示すことで、ゲームチェンジの端緒とするという。

  • 新スタンダードのイメージ

    COO(Cost Of Ownership)+環境負荷低減(グリーンサステナブル)の新スタンダードのイメージ (出所:産総研Webサイト)

この戦略目標については、戦略会議のもとに民間企業7社(キヤノン、島津製作所、SCREENセミコンダクターソリューションズ、大日本印刷、東京エレクトロン、堀場エステック、ローム)、および東工大、産総研をメンバーとして「グリーンサステナブル半導体製造技術検討会」が設置されたが、同検討会は今後、活動に興味を持つ企業、大学などのメンバーをさらに募集し、増員していく予定としている。

なお、今後については、戦略の具体化のため、各種の活動を展開する予定だとしているほか、戦略に基づく産総研の拠点形成、研究活動の具体的な活動方針を策定、実行していくとしている。また、量子コンピューティングなども含めさまざまな新規技術が開発、社会実装されつつあることから、新規テーマも含め今後も戦略の検討を進め、戦略の更新、公開を進めるとしている。