産業技術総合研究所(産総研)は6月17日、産総研が2021年3月に設置した「次世代コンピューティング基盤開発拠点」(基板開発拠点)において「戦略会議」を設置し、検討を進め、「次世代コンピューティング基盤戦略 第一版」(基盤戦略 第一版)を策定し、基盤開発拠点のWebサイトにて公開したことを発表した。

また、戦略会議のもとに「グリーンサステナブル半導体製造技術検討会」を設置し、民間企業7社および東京工業大学(東工大)、産総研をメンバーとして活動を開始したことも併せて発表された。

シリコン半導体のプロセスの微細化が物理的に限界を迎えつつあり、それによって性能を向上させてきた従来のCPU中心のコンピューティングシステムでは、取り扱うデータの爆発的な増加への対応が困難になりつつある。一方で、トラフィック量の抑制を目的に、エッジコンピューティングの重要性が増しており、将来的にはエッジとクラウドを有機的に結び最適なコンピューティング能力を発揮するための、ネットワークとコンピューティングが一体化した「超分散コンピューティング」の重要性がさらに増していくことが考えられるという。

この社会変革の中で、日本が重要な地位を占め続けるための研究開発およびビジネス化の戦略、その戦略を実現するための研究開発体制の構築、および人材育成を実現することが極めて重要だと産総研は述べており、次世代コンピューティング技術、その中でも特に基盤(ハード)技術に関わる産業・学術分野において日本が重要な位置を占め、また占め続けるためには、以下の3点が重要だとする。

  1. 研究開発およびビジネス化の戦略策定
  2. 戦略に基づいた産総研における研究開発推進
  3. 企業・大学などが効率的に研究開発や人材育成を進めるために活用される試作・評価機能の実現

この3点を目的として、産総研 エレクトロニクス・製造領域およびTIA推進センターにより、基盤開発拠点は設置されたとする。

同拠点における活動の一環として、東工大の益一哉学長と産総研の金山敏彦特別顧問を共同座長として、大学、企業の有識者、新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術戦略研究センターおよび産総研のメンバーからなる戦略会議が設置され、今回、基盤戦略 第一版がまとめられ、政府、企業、大学などで広く活用されることを期待して、その内容がWeb上で公開されることとなったのだという。