市場調査会社である富士経済は、半導体製造工程で使用される主要な材料の市場調査を実施し、その結果を「2022年 半導体材料市場の現状と将来展望」としてまとめたことを発表した。

調査対象となったのは、前工程材料(フォトマスク、フォトレジスト、シリコンウェハ、ガス、薬品など)25品目と、後工程材料(バックグラインドテープ、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、銅張積層板材料、封じ材)5品目としている。

2021年の市場規模は前工程向け材料が311億ドル、後工程向け材料が33億ドル。これが2026年になると、前工程が2021年比28.9%増の401憶ドル、後工程が同27.3%増の42億ドルとなると予測している。

2021年は、半導体不足が深刻化し、さまざまなエレクトロニクス製品の生産に影響を及ぼしたが、2022年は、新型コロナによる巣ごもり需要がひと段落し、半導体不足も徐々に緩和するとみられることから、ノートPCやゲーム機、家電製品などの特需は落ち着きをみせるものの、5GやIoTの普及による通信インフラとしてのサーバ需要が底堅いこともあり、引き続き半導体の需要増加は続くとみられるとしている。

また、今後は、サーバやノートPCなどの需要増に加え、半導体プロセスの微細化、高層化といった動きが前工程材料の需要増を後押しするとみられるとするほか、3D-IC積層実装の実用化により後工程材料の付加価値化が進み、市場は長期的に拡大すると予想している。

工程別でみると、前工程ではプロセスの微細化やEUVの活用に加え、レガシープロセスの半導体も需要増が続くことから、フォトレジスト、フォトマスクが好調となるほか、3D NANDの高層化による、高アスペクト比の深孔加工に使用されるHFCエッチングガス、硫化カルボニルなどが大きく伸びることが期待されるとしている。

一方の後工程ではウェハ投入枚数および面積の増加により、バックグラインドテープやダイシングテープの需要増が続くとみている一方で、3D NANDの高層化によってウェハの投入枚数の伸びがやや抑えられると予想されるため、ダイアタッチフィルムの伸びは鈍化すると見ている。PC向けFlip Chip-Ball Grid Array基板の需要増でパッケージ基板銅張積層板材料は好調だが、2022年以降はPCの成長鈍化を受けて、スマートフォンやデータサーバ向けが増えるとしている。