デジタルツインによる下水処理場の運転管理支援技術

カーボンニュートラルに関わる技術の展示では、同社の下水処理場に向けたソリューションの紹介がされていた。

開発中のデジタルツインによる運転・維持管理支援技術は、現実世界のプラントを再現した仮想プラントをコンピュータ上に構築。仮想プラントでさまざまなシミュレーションを行うことで、現実のプラントの運転などを支援するというものだ。

下水処理場では、水に空気を送って酸素を供給する「曝気」などの量を調整することで水質を維持する。これまでは、熟練者の経験などから曝気量の調整を行っていた。

同社が開発しているデジタルツイン技術を用いることで、さまざまな指標を簡単にシミュレーションし、水質などを管理することができるという。将来的には機械学習を用い、自動的に制御を行えるまでにしたいとのことだ。

  • 同社が開発中のデジタルツインによる運転・維持管理支援技術。操作方法は、ディスプレイ上で、指標のグラフを上下に動かすだけだ。1つの指標を変えた際にほかの指標がどう変わるのかを簡単にシミュレーションすることができる

    同社が開発中のデジタルツインによる運転・維持管理支援技術。操作方法は、ディスプレイ上で、指標のグラフを上下に動かすだけだ。1つの指標を変えた際にほかの指標がどう変わるのかを簡単にシミュレーションすることができる

大量のデータの全体像をヒトに伝えるためのデータビジュアライゼーション

三菱電機でUXデザイン、ソリューションデザイン、プロダクトデザイン、インタフェースデザインなどの研究を行う、三菱電機統合デザイン研究所は、大量のデータの相関や全体像を伝えやすくする表示技術とデザインの研究である「データビジュアライゼーション(データ可視化)」を紹介していた。

  • エレベーターの利用データ

    エレベーターの利用データ

上の図はエレベーターの利用データを示したものだ。最上部が24:00で時計のように表示されているため、向かって右側が朝、左側が夜となる。図をみると右半分にオレンジ色が多く、左半分に青色が多いことがわかるだろう。

オレンジ色は、エレベーターの昇りの使用で、青色が降りの使用だ。ここから、朝は昇りを使う人が多く、夜は降りを使う人が多いことが直感的にわかる。

  • エレベーターごとのデータも見ることができる。このように全体像から細かい部分まで、1つの図で表現できるのも特徴だ

    エレベーターごとのデータも見ることができる。このように全体像から細かい部分まで、1つの図で表現できるのも特徴だ

このように、生データに形を与えることで、データの全体を把握しやすくすることを目指しているという。

誰でも全体像を把握しやすく、また分野の異なった専門家に共通のイメージを持たせることができ、複数の専門家の知見を合せた分析が可能になるという。

将来的には、気候変動の把握や多様なエネルギーの効率的な運用、工場システムの構築やインフラ保全のための状況把握手段としての活用を検討しているという。

展示ではほかにも「宇宙空間で衛星アンテナを製造する3Dプリント技術」「音波で魚群を遠ざける技術」「ティーチングレスロボット」などさまざまな技術が紹介されていた。

なお、来場は同社のクライアントを対象とし、招待制。6月6日からは同社のWEBサイトで未来シアターで紹介したビデオ展示を公開する予定だ。