韓国の半導体メーカーは、200mm(8インチ)ウェハのニーズが車載マイコン、CMOSイメージセンサ、ディスプレイドライバIC(DDIC)、家電向けパワーマネジメントIC(PMIC)を中心に増加傾向にあり、200mmウェハラインがフル稼働を続けており、それらのプロセスで用いられるi線やKrFでの露光に用いられるフォトレジストの在庫が3か月を切り、中には2か月水準となっている中小半導体企業も出てきており、供給不足が続けば、半導体の生産に支障をきたす可能性があると韓国の複数のメディアが報じている。

例えば、Samsung Electronicsは量産ラインを300mm化しているが、SK Hynixは、一部のCMOSイメージセンサをはじめとする非メモリ半導体の製造は200mmウェハラインを活用している。また、韓国最大の専業ファウンドリであるDB HiTekはすべてのラインが200mmウェハであり、300mmウェハ化の予定はない。韓国半導体業界関係者によると、KrFレジストは300mmウェハを用いた3D NANDフラッシュメモリの製造にも使われており、ファウンドリ業界だけではなくメモリ製造にもレジスト不足の影響が懸念されているという。

ただし、EUVのような最先端プロセス向けレジストについては、複数の国際的なサプライチェーンルートが整備されているため、供給不足の心配ないという。韓国半導体業界では、輸出管理規制にかからないすべてのレジストも少なくとも3か月分を超す在庫確保をマニュアル化したが、現在、そうしたレガシープロセス向けフォトレジストは、需給ひっ迫で十分な在庫が確保できていないという。

また、韓国資本のフォトレジストメーカーDONGJIN SEMICHEM(セミケム)やSK Materialsなどがフォトレジストの増産体制を敷いているが、半導体メーカーの生産拡大によって需要を十分に支えられない状況だという。

韓国で消費されるフォトレジストの輸入元の80%が日本からであるが、半導体製造業界関係者によると、最近、日本産のレガシープロセス用フォトレジストが供給難となっており、価格引き上げの兆しも見せているという。例えば、信越化学は2021年10月、中国浙江省の工場が電力供給制限で稼動率の低下を経験している。同社は、直江津での新工場が稼働しても、現在の需要に対応した供給はできない状態だとしているという。

また、韓国関税庁の輸出入統計によると、2021年に日本から輸入されたフォトレジストは重量基準954.9トンで、3億6723万ドルに達している。トン当たりの輸入額は3万8457ドル(約4752万ウォン)で、2020年の3万3074ドル(約4087万ウォン)に比べて16%ほど増えており、最近5年にわたってトン当たりの価格が継続して上昇しているという。

韓国半導体関係者によると、ロシアのウクライナ侵攻の影響で、空気分離により製造されるクリプトンの国際価格が、ネオンやキセノンと同様に高騰し入手難になってきており、KrFエキシマレーザー光源も入手が難しくなりそうだという。また、業界関係者からは「巨大企業のSamsungやSK Hynixは別にして、中小半導体メーカーは国際交渉力が乏しいので、政府が前面に出てレジストをはじめとした半導体素材のサプライチェーン支援のための体系を整えるべきだ」という声が出てきているという。