米Western Digitalは3月2日(米国時間)、キオクシアとの協業による3D NAND製造における四日市工場ならびに北上工場の一部製造工程停止問題の続報ならびに、2022年度第3四半期(2022年1~3月期)の見通しに関する発表を行った。

それによると、四日市工場ならびに北上工場における3D NANDの生産は、2022年2月下旬にほぼ1か月ぶりに通常の操業状態に戻ったという。

同社は2月9日(米国時間)に、製造に使われているある材料(それが何であるかは非公表)の汚染により2022年1月下旬から操業に支障が生じていることを明らかにしていた。回復までの時間がかかったため、同社は、被害を受けた本来出荷できた容量を、2月9日に発表した約6.5エクサバイト(EB)から約7EBへと引き上げており、これらの影響により、2022年度第3四半期および第4四半期の売り上げが減少することになるとしている。

そのため同社は、2022年会計年度第3四半期の売上高見通しを1月27日発表時の45.5~46.5億ドルから42~44億ドルに下方修正している。

パートナーであるキオクシアも3月3日付けで、2月下旬に通常操業に戻ったと簡単な発表を行ったが、被害額(数量)や操業に支障を生じさせた材料の汚染などについての詳細は明らかにしていない。

業界関係者によると、四日市工場ならびに北上工場のすべての3D NANDフラッシュメモリ製造ラインで、キオクシア/Western Digitalだけが使用している特殊仕様の消耗材料の品質に問題があったのではないかという。ちなみに、それは2D NANDフラッシュメモリの製造には使用されていない材料だという。また、Western Digitalが明らかにした約7EBという記録容量の減少にはキオクシア分は含まれておらず、キオクシアの損害はWestern Digitalを上回る可能性があるとの見方も出ている。

NANDサプライヤ各社が値上げを顧客に通知

半導体業界関係者によると、Western Digitalは最近、NAN価格を10%引き上げると顧客であるメーカー各社に知らせたという。また、それに先立ち、Micro Technologyも、NAND価格を約10%引き上げると同様に顧客各社に通知したという話が顧客サイドから出てきている。

残るNAND大手サプライヤであるSamsung Electronics、SK Hynixといった韓国勢からは、まだ顧客各社に対する値上げ通知を行っていないようだが、市場ではすでに3D NANDのスポット価格の上昇が確認されており、必然的に韓国勢の2社もこの恩恵を受けることとなるため、2022年上半期の当該事業の売上高を押し上げる可能性があるとみられる。