半導体市場動向調査会社の台TrendForceによると、2021年第4四半期のNANDフラッシュのビット出荷数量は前四半期比3.3%増で、2021年第3四半期の同約10%増から減少することとなった。この結果、平均販売価格(ASP)は同5%近く減少となり、業界全体の売上高も同2.1%減の185億ドルに留まったという。

これは主に、需要の減少と供給過剰による契約価格の下落が要因だという。エンタープライズSSDを除いて、eMMC、UFS、クライアントSSDなどの他のNAND製品はいずれも価格を下落させることとなった。

2021年のNAND市場は前年比21%増

TrendForceの2021年通年のNAND市場は、2021年下半期には弱含みの兆しが見られたものの、新型コロナによるリモートワークやクラウド需要を背景に、前年比21.1%増と、2018年以来2番目に大きな成長率を記録したという。

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    2021年第4四半期の自社ブランドNANDサプライヤ売上高ランキング (出所:TrendForce)

シェアランキング、SK Hynixが3位から陥落

2021年第4四半期の企業別売上高ランキングはいくつかの変化が生じた。Samsung Electronicsが1位、キオクシアが2位であることは従来通りであるが、3位にはこれまでのSK HynixにかわりWestern Digital(WDC)が入り、SK Hynixは4位に転落した。

その背景には、Western Digitalが米国の主要なスマートフォン(スマホ)クライアントからの新しい5Gフラッグシップモデルに対する継続的な強い在庫需要の恩恵を受け、クライアントとエンタープライズSSDの販売低迷、ASPの6%低下といった影響を相殺し、出荷数量を13%増加させ、売上高を前四半期比5.2%増の26.2億ドルとした一方で、SK Hynixは、データセンターのクライアントと米国を拠点とするスマホブランドからの継続的な需要の恩恵を受けて、ビット出荷の伸びを当初の予測に沿って10%を超すことができたが、ASPが中国でのスマホの出荷の低迷とPCメーカーの在庫調整の影響を受けた結果、10%近く下落した結果、売上高は同2.8%増の26億1500万ドルとなり、Western Digitalに僅差で売上高をに抜かれることとなったことが挙げられる。

5位はこれまで同様のMicron Technologyで、6位はSolidigmとなった。SolidigmはSK Hynixが買収したIntel NAND部門の新社名で、同四半期は、エンタープライズSSDにおけるサプライチェーンの影響を受け続けたことで、ビット出荷量を前四半期比で約5%減となった。ノートPCからの注文は依然として堅調であったものの、生産能力を削減したこと、ならびにASPの低下もかさなり、売上高は同9.9%減の9億9600万ドルにとどまったとする。

なお、2022年第1四半期はシーズン的に需要の閑散期にあたるため、供給過剰が進み、契約価格をさらに下落させることとなっているとTrendForceは述べている。価格の下落と出荷数量の減少により、NAND市場規模は下落することが予測されるが、2月10日にキオクシアおよびWestern Digitalが原材料汚染で四日市および北上工場の操業を一時停止していると発表しており、これを受けて四半期計画価格が値上がりし始めているとの観測もあり、これにより市場縮小の規模を抑える可能性があるともしている。