東京農工大学と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2月18日、起業家支援に係る相互協力の覚書を交わし、同大学の研究開発成果などを基にした大学発ベンチャー企業育成のための人材育成や産学官連携機能の拡充などを図る連携協定を交わした。

そして、起業家支援を図るといった相互協力を進める目的の覚書に調印し、その覚書を互いに交わした。

  • 記念撮影

    相互に起業家支援を図るなどの相互協力を図る覚書にサインし、その覚書を互いに持つ東京農工大の直井勝彦理事(学術・研究担当:右)とNEDOの久木田正次理事(左)

NEDOは、2018年2月に北海道大学と起業家支援を図るなどの相互協力を進める目的の覚書第一号を交わして以来、これまでに14の国立大学法人と同様の覚書を交わしてきた。今回の東京農工大との覚書締結は15番目となる。

「工学部と農学部の工学系・農学系学部・研究科(研究院)を持つ東京農工大は先駆的な研究開発や複数の学問領域にわたる独創的な研究開発を基に、オープンイノベーションを進めてきたことから、その成果として例えば大学発ベンチャー企業を産み出し、育ててきた」と直井勝彦理事(学術・研究担当)はいう。

東京農工大は、今回のNEDOとの覚書を契機に、そのオープンイノベーション態勢を一層強めていく構えだ。同大学で産学連携・ベンチャー企業育成などを担当する研究・財務戦略部研究支援課は「東京農工大の研究開発成果を基に設立されたベンチャー企業は39社に上る」と説明する。

  • 東京農工大発ベンチャー企業の一覧

    東京農工大発ベンチャー企業の一覧。同一覧は設立年月日を基に作製されたもの。その後に、消滅したり、合併したり、売却されたベンチャー企業もある模様だが、その後については公表されていない

同様に、NEDOのイノベーション推進部などを所管する久木田正次理事は「研究開発型のベンチャー企業(スタートアップ)を支援する各種事業を拡充させており、その各支援事業を東京農工大や東京農工大発ベンチャー企業へ適用するよう進めていく方針」という。

NEDOイノベーション推進部などは、日本でイノベーションを強力に進めるために、研究開発型スタートアップの専門支援人材育成を目指すSSA(高度専門支援人材育成プログラム)や、ベンチャー企業の事業計画構築を支援するTCO(専門家による伴奏支援)、ベンチャー企業の事業計画の構築支援策のNEP(NEDO Entrepreneurs Program)、ベンチャーキャピタル(VC)と協調支援を図るSTS(Seed-stage Technology-based Startups)、技術シーズの事業化を支援するPCA(Product Commercialization Alliance)、SSA(研究開発型スタートアップの専門支援人材育成)などの多彩な施策によって、多重的にベンチャー企業を育成する施策を進めている。

今回の覚書による相互協力によって、東京農工大の学生や教員などやベンチャー企業(創業前を含めて)などがこうした支援策を受けやすくなる。

NEDOはこうした多層的なベンチャー企業の支援策を用いて、世界で戦える日本発のベンチャー企業を育成・支援し、日本国内にベンチャー・エコシステムを築くことを図る姿勢だ。