韓国の電子・半導体産業用薬剤メーカーであるChemitronicsが半導体のEUV露光などの工程で使用されるフォトレジストの有機溶剤を構成する「プロピレングリコールメチルエーテル酢酸(PGMEA)」を高純度(純度99.999%)で生産することに成功したと複数の韓国メディアが報じている。Chemitronicsは、この高純度PGMEAに関する製造法と異性体除去法の特許申請を行ったほか、年内にも量産工場を立ち上げるとしているという。
高純度PGMEAはEUV露光用レジストをはじめとする先端デバイス製造用レジストの70~80%を構成する原料で、これまでは日本と中国からPGMEAを輸入し、Chemitronicsが精製作業を行い、韓国の半導体企業に納品していたという。
今回、Chemitronicsが開発したのはPGMEAの異性体(β-isomer)濃度を1ppm未満に下げる技術で、先端半導体企業が要求するPGMEAで有害物質に分類される異性体含量を10ppm未満という値をクリアできたとしている。米国立職業安全衛生研究所によると、PGMEAの異性体は生体毒性が強く、不妊や奇形児を誘発することがあるため、異性体含量の低減が求められている。
Chemictronicsは約200億ウォン(約20億円)を投じて、2022年年末をめどにPGMEA製造工場を韓国の平沢で立ちあげる計画としている。現在、韓国内のPGMEA市場の規模は年間2400億ウォン(約230億円)ほどであるとされているが、同社は、これをすべて国産に切り替えたいとしているほか、今後、半導体産業がさらに成長すれば、1兆ウォン(約958億円)まで市場が拡大することが期待されるとしており、同社の開発責任者は「2年余りをかけて、高純度のPGMEAを開発することができた。これを皮切りに、高純度化ニーズならびに環境保全の流れを踏まえた多様な電子材料・素材の国産化を目指す」としているという。