AMDが発表した2021年の通年売上高は、前年比68%増の164億3400万ドルで過去最高を記録した。営業利益も同166%増の36億4800万ドル、純利益も同27%増の31億6200万ドルと好業績を記録した。
また、2021年第4四半期の売上高は、前年同期比49%増、前四半期比12%増の48億2600万ドル、営業利益は12億700万ドルとなっている。コンピューティング/グラフィックス部門、エンタープライズ/組み込み/セミカスタム部門のいずれもで増収となり、粗利益は前年同期比5ポイント増の50%となった。
コンピューティング/グラフィックス部門は、RyzenおよびRadeonが好調で売上高は前年同期比32%増の26億ドル。営業利益も同35%増の5億6600万ドルとなった。一方のエンタープライズ/組み込み/セミカスタム部門も、EPYCとセミカスタムプロセッサの採用が拡大したこともあり、売上高は同75%増の22億ドル、営業利益は同3倍を超す7億6200万ドルとなった。
また、2022年第1四半期(1~3月期)の見通しについても、すべての事業で成長を見込んでおり、売上高は前年同四半期比45%増、前四半期比4%増の50億ドル±1億ドル、2022年通年も、すべての事業が成長することで前年比31%増の215億ドルと予想している。これらの値はいずれもアナリストの予想より高く、サーバおよびクライアントプロセッサの売上高の増加によるものとみられる。 AMDは、EPYCプロセッサとInstinctアクセラレータを中心に、拡張されたクラウド製品を備えたデータセンターソリューションの採用を拡大することで、新規顧客の獲得をはじめとして、今後もデータセンター分野で高い成長を期待している。2021年第4四半期だけでも、主要なクラウドプロバイダは、AMDを活用したサービスを拡張し、130を超す新しいパブリックインスタンスをリリースしたとするほか、Meta Platformsは協力して、主要なワークロード全体でワットあたりで高いパフォーマンスを備えたMetaの最新の「ノースドーム」システム用EYPCベースのオープンクラウドスケールのシングルソケットサーバを定義したとしている。
Xilinxの買収でデータセンター分野でのさらなる成長に期待
AMDは2020年10月にXilinxを350億ドルで買収すると発表していたが、ようやく2022年1月27日付で中国市場規制国家管理局(SAMR)の買収承認を取得、米国連邦取引委員会の認可を残すのみとなったことから、数か月以内の買収手続きを終えめどが立ったと言える。AMDの競合であるIntelは、すでに2015年、同じくFPGA大手であったAlteraを167億ドルで買収しており、AMD+Xilixとなることで、Intelとのデータセンター分野での競争が激化する見込みである。
なお同社は2022年後半に、TSMCの5nmプロセスを採用したデスクトップCPU「Ryzen 7000シリーズ(Zen 4アーキテクチャ)」を発売する予定としているほか、同じく2022年後半にZen 4ベース5nmプロセス採用EPYC「Genoa」を、2023年前半ころに高性能クラウドサービス向けとしてZen 4cを採用した「Bergamo」の発売を計画している。