オンライン・ディストリビューションなどのハイサービス業界にとって、2021年は新たな課題と機会が次々と生まれた1年でした。多くの分野でビジネスが大きく変化するなど、予測できない市場状況が続いたことから、2021年にはディストリビュータ、サプライヤなど業界関連企業の多くが新たな、時には不測の障害や機会に直面することになりました。本稿では2021年の課題に対する業界の対応を振り返るとともに、2022年への展望を紹介します。

需給関係の変化

2021年の最大の教訓の1つが、市場の状況が人々が考える以上に予測不可能になり得るということでした。電子部品産業では、新型コロナウィルス感染症の流行による減産、港湾での遅延に伴う出荷の遅れ、自然災害、原材料の入手困難など、想像を絶するさまざまな課題が発生しました。2021年を通じて、電子部品に対するニーズがこれまで以上のペースで高まったのも事実です。

また、多くのメーカーにとって必要度の高い部品の一部が入手困難になり、その結果、注文が増加するケースが発生したのも事実です。

2021年、エンジニアリング業界は設計で迅速かつ柔軟な対応を行い、新たな部品オプションを作り出してきました。今後、困難な時期もあるとは思いますが、2022年後半には注文が通常レベルに回帰する可能性が高いと考えています。

予測不可能な市場情勢が続く中で、Digi-Keyなどのディストリビュータは世界のお客様に優れたサービスを提供するため、倉庫キャパの拡大、オンライン・サービスの強化、新市場への参入などの戦略的イニシアチブに対する投資を引き続き積極的に行い、市場の急激な変化に対応してきました。

困難な状況への対処

サプライヤにとって2021年に重要になった課題は、供給の拡大だけでなく、お客様が必要とする部品をスムーズに提供するための革新的な方法を探ることでした。

ディストリビュータは、日々革新的なプロジェクトの創造に取り組む世界のエンジニアやメーカーにとっての自社製品の重要性を真に理解しているサプライヤとともに働けることを誇りとしています。供給は予想よりも早く回復する可能性があります。

展示会の中止に伴い、ディストリビューション業界はサプライヤなどとのより緊密なコミュニケーションや協力のための新たな方法の模索を迫られ、その結果実現したのが、シームレスなデジタル化でした。

Digi-Keyのデジタル・ファースト・アプローチは、2021年に大きな成果をもたらしました。Digi-Keyはグローバルなお客様との取引に伴う障壁を取り除き、ローカルなニーズへの対応をさらに向上するため、言語、通貨、サービス体制などのローカライズを強化するとともに、発送の迅速化に取り組んできました。

米国に本社を置く企業の多くが、単一言語と単一通貨でビジネスを展開したいと考えがちです。しかし、ディストリビュータにとっては、電子部品産業のグローバル化が続く中で、世界のお客様へのサポートのための投資をさらに強化し、サービスのシームレス化を一層推進する必要があります。Digi-Keyは現在、26の現地通貨に対応し、21の言語でビジネスを展開しており、今後もこうした対応を強化していきます。

将来に備えて

誰も将来を正確に予測することはできませんが、将来を占う上で過去の経験を参考にすることは非常に有益です。電子部品業界はさまざまな形でサイクル的に変化しています。2021年のニーズと課題は、今後も新しい形で出現すると思われます。その際にカギとなるのが、2021年に導入した新しいビルディング・ブロックにより、将来に備えた体制をよりよい形で整えることです。

ディストリビュータにとって在庫への投資以上に重要なのは、高い顧客満足度を維持するために、クリエイティブな方法でサービス強化を実践していくことです。

例えば、Digi-Keyは近年、需要の急増に対応するため、キャパシティ強化のためにインフラへの投資を拡大してきましたが、こうした投資については、ビジネスの成長に応じた形で今後も実施していきます。検索、購入、配送など、お客様のためのサービスをより簡単かつ効率的にするため、米国ミネソタ州シーフ・リバー・フォールズの新たなProduct Distribution Center(PDC:製品配送センター)、Web検索機能の精度と予測性の向上、在庫の拡大、Digi-Key倉庫の自動化などを実行してきました。

  • Digi-Key

    米国ミネソタ州シーフ・リバー・フォールに建設された約20万平方メートルの延べ床面積を持つ製品配送センター

さらにDigi-Keyは、引き続き世界のお客様にとってファースト・ストップとなるため、カットテープ製品に対する部品追跡機能の強化、エコシステムで提供される製品とサービスの拡充、Digi-Keyマーケットプレイスの拡大などのイノベーションに投資してきました。

こうした投資により、Digi-Keyはお客様とともに2021年の嵐を乗り越え、2022年にさらに万端の対応を行うための体制を整えてきたと考えています。

まとめ

2021年は全世界が思いがけない展開を経験しましたが、結果として、グローバルなスケールでコミュニケーション能力や配送能力が目覚ましく向上しました。

こうした経験により、Digi-Keyなどの業界全体は相互信頼を深めるとともに、危機対応能力を強化することができました。これはお客様にとっても大きなメリットになると信じています。

Digi-Keyは2022年もお客様のイノベーション実現に貢献できることを楽しみにしています。