リコーは11月19日、同社のESG(Environment、Social、Governance)マネジメントに関する説明会を開催した。同社が2002年に設定した3Ps(Prosperity、People、Planet)バランスを軸とした持続可能な社会の実現を目指して、社会課題解決による持続的な企業価値向上を続ける。

同社ではFY20より、ESG目標を財務目標と並べて会社の経営目標に掲げている。ESG目標は直近で利益を生むわけではないが、5年後10年後の利益につながるものとして、同社では「将来財務」として扱っているのだという。

同社グループは経営理念や事業戦略、ステークホルダーからの要求を踏まえて、7つの重要社会課題と17のESG目標を設定している。特に、7つの重要社会課題については経営基盤の強化に関わる3領域と、事業を通じて社会課題解決を図る4領域に大別し、その各領域でSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に対応する項目を設定している。

  • リコーグループが設定する7つの重要社会課題

そうした目標のもと、社内にはCEOを委員長としたESG委員会を設置したという。委員会は、執行役員や監査役、ESG担当役員などのメンバーで構成されいているとのことだ。また、同社の取締役会においては約2割の時間がESG関連の議案に費やされている点が印象的だ。

会社のESG指標は取締役および執行役員の賞与にも連動している点も同社の特徴である。事業計画の進捗や収益などの財務評価だけでなく、ESGへの取り組みや社員満足度など非財務評価も評価や報酬に影響を与えるのだという。

  • ESG委員会の設置について

説明会の中では、脱炭素社会の実現に向けた取り組みも語られた。パリ協定が求める水準に基づいたGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出削減目標であるSBT(Science Based Targets)1.5度の認定を取得し、30年および50年目標も策定したという。さらに、これらの目標の達成に向けて、再生可能エネルギーの導入加速と徹底的な省エネの実現による2030年までの具体的な削減シナリオまで設定したとのことだ。

GHGの排出量に関しては、FY18以降現在までSBT1.5度の基準をクリアする数値で排出削減が進捗しているようだ。売上高原単位も着実に改善しているとのことで、同社は今後も省エネの徹底と再生可能エネルギーの導入加速でグリーンリカバリーを目指す。

  • 脱炭素社会の実現に向けた目標設定

地域別のGHG排出状況を見ると、日本が世界の排出量の約6割を占めるという。アメリカが約15%、ヨーロッパと中国が共に約10%である。ヨーロッパでは再生可能エネルギーの使用率向上に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大によるロックダウンの影響で営業車の燃料消費が大幅に制限された背景もあって、GHG排出が大幅に削減されたとのことだ。

ビジネスユニット別に見ると、リコーインダストリアルソリューションズ、リコーデジタルプロダクツ、リコーデジタルサービスの3ユニットによるGHG排出が全体の8割を占めており、特にサーマルやトナー関連の生産工場での再生可能エネルギー使用が課題となっている。

  • 地域別およびビジネスユニット別のGHG排出状況 資料:リコー

現在はドイツなどヨーロッパを中心にESGを重視する世界的な法規制動向が強まっており、商談時のESG要求は今後ますます増加することが予測される。ヨーロッパの公共調達ではサプライヤー選定の際の配点において、100点満点中10点以上がCSRの配点となる商談も出てきているとのことだ。

そこで同社では、ESGに関する取り組みは現在よりも5年後あるいは10年後の財務を生み出すために不可欠な活動だとしている。現在のESGへの取り組みがおろそかになれば、将来の財務活動や企業価値に負の影響を与えるリスクにもなり得るとして、同社は今後さらにESGと事業成長の相関を可視化し企業価値向上に取り組むとしている。

  • ESG要求は今後ますます重要になると考えられる