Vicorは7月27日(米国時間)、波力発電システムを開発している米コロンビア・パワー・テクノロジー(C-Power)と協業したことを発表した。

C-Powerの自律型洋上電源システム(AOPS)は、波の機械的エネルギーを電力に変換する技術で、遠隔のキロワット規模の電力供給を可能とする。最新のAOPSプラットフォーム「SeaRAY」では、Vicorの電力変換技術を採用することで、パワーウェイトレシオが高い電源システムを構築。小型化により、運用コストを数万ドル単位で削減することができるようになったとしている。

  • SeaRAY

    C-PowerのSeaRAY

具体的には、予測不可能な海洋の波の性質に対応するため、30:1という広い入力電圧範囲が必要とされ、その要求に対し、Vicorは電圧変換比固定バスコンバータ「BCM」とレギュレータモジュール「PRM」を複雑な多段式のディスクリートコンバータと組み合わせることで対応することに成功。これによりSeaRAYの変換効率は従来の50%から85~94%に向上させることができたという。また、ユニットは外部から制御信号を受信して、必要に応じた正確な電力変換動作をリアルタイムで行なうことができるようになっているともしている。

さらに、ノイズの発生が抑えられているため、センサの測定精度を低下させるようなSeaRAY内の電磁干渉やノイズを最小限にすることもできるようになったとしている。

  • SeaRAY

    海からクラウドに情報を送ることで、遠隔地での自律型のデータ通信を可能にするSeaRAYのイメージ

なお、C-PowerのAOPSシステムは石油や天然ガスの探査や生産、海洋の二酸化炭素隔離や海洋学研究、水産養殖、防衛などの用途で活躍しているという。