ガートナー ジャパンは6月28日、デジタル・トランスフォーメーショ(DX)とデータ/アナリティクス(D&A)の取り組みに関する調査結果を発表した。

  • 世界でDXに取り組んでいる組織の割合とD&Aリーダーの関与

    世界でDXに取り組んでいる組織の割合とD&Aリーダーの関与

同社が2020年11月に世界で実施したCDOサーベイにおいて、世界でDXに取り組んでいる組織は8割を超え、これらの組織のD&Aリーダーの76%がDXを主導またはそれに深く関与していることが明らかになったという。このことから、世界ではDX推進にD&Aリーダーの深い関与が不可欠になっている現状が浮き彫りになったとしている。

日本でもDXやデータ利活用に取り組む大企業は増え、日本のIT部門を対象に実施した2020年11月の調査では、大企業の約8割がDXやデータ利活用に取り組んでいると回答した。しかし、これらのうちDXとデータ利活用を明確に区別して取り組んでいると回答したのは14%にとどまった。

  • 日本の大企業におけるDXとデータ利活用の取り組み状況

    日本の大企業におけるDXとデータ利活用の取り組み状況

加えて、世界では特に欧米の大企業を中心に、D&Aに責任を持つ最高データ責任者 (CDO) などの役職者の設置が増加しているが、日本の大企業ではそれに相当する責任者はまれにしか見受けられず、専任で主管組織を設置する企業は少ないのが現状となっている。ガートナーが日本のIT部門を対象とした調査でも、データ利活用の専門組織を設置しているという回答は15%にとどまったということだ。

ガートナーのアナリストでディレクターの一志達也氏は次のように述べている。「今回の調査や顧客との対話などから、日本と世界では、DXやD&Aの取り組みを担う責任者・役割の定義に違いがある現状が見て取れます。世界では大企業を中心にCDOが増加しており、CDOのリーダーシップの下、D&Aの取り組みを進めています。一方、日本の企業ではD&Aの取り組みの責任を担うCDOはいまだほとんど存在していません。日本は大企業を中心に専門組織の設置など、DXへの取り組みが積極的に行われており、データ利活用をその一環と捉えて最高デジタル責任者の下で取り組んでいるケースが多く見受けられます」